HP部屋

□ぬくもり
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「今度は学校中が君の事を、スリザリリンの曾々々々孫だとか何とか言い出すだろうな」
額に手を当て、顔を苦渋でゆがめながらロンは呟いた。
ここはグリフィンドール談話室。あの決闘クラブからハリーを引きずり出してなんとか3人の時間を作り、ハリー、ロン、ハーマイオニーは深刻に話し合っていた。

「だけど…僕は違う」
胸に手を当て、言いようのない恐怖に駆られながら、苦しげにハリーは言った。
「それは証明しにくいことね」
いつもだったら、ハリーが落ち込んだとき、希望を持たせてくれるような知識を引っ張り出してくれるハーマイオニーですら、絶望したように口を開いた。
「スリザリンは千年ほど前に生きていたんだから、あなただという可能性もありうるのよ」
そう言って、深く嘆息した。

―――僕がスリザリンの子孫…?
ハリーは目の前が真っ暗になったような気がした。蛇と話しが出来る。気づいた時はビックリしたが、そんなに嫌な気持ちではなかった。
だが今は…
 
顔色を蒼白にし、震えているハリーを見て、ロンもハーマイオニーも、掛ける言葉を捜した。が、こういう時に限って、気の利いたセリフが出てこない。

「ハリー…」
ハーマイオニーはハリーの手をさすり、なんとかハリーの気持ちを落ち着かせようとしたし、ロンもハリーの肩に手を置き、しきりにハリーの顔を心配げに覗き込んだ。
しかし、ハリーは上の空でそんな二人の様子に気づいていない。
ハリーの顔色は蒼白を通り越して、真っ白になっていた。

「僕…ちょっと出掛けてくる…」
しばらく呆然自失状態だったハリーがフトそんな事を言い出したのは、しばらく経ってからだった。
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