HP部屋

□絆
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静寂に包まれる地下研究室。
一切の物音を拒絶するような空間。
やや薄暗く、肌寒いこの部屋を彼―――セブルス・スネイプは気に入っていた。
ここには彼の仕事を妨げる者はいない。
いつだってやかましいだけの学生たちも、この部屋にはいない。
静寂と孤独を愛する彼にとって、一番落ち着く空間。

そんな彼の『静寂』を打ち砕かれる日がまさか来ようとは。
部屋の主であるスネイプでさえ予想していなかった。

「こんちは、先生!」
ノックもせずにいきなりドアを開け、静寂を破った者の姿を見て、スネイプは苦笑した。「ノックはしろ、といつも言っているだろう…」
ため息をつきながら、その人物を迎え入れる為、スネイプは仕事の手を止め立ち上がりドアへと向かう。
「どうしても忘れちゃうんだよね。『あの家』で僕がドアなんか叩いたら、僕が叩かれるよ」
肩をすくめながら、彼は言う。
「大体、勝手に家の中を歩き回れなかったしね」
そんな彼の言葉に、スネイプはまたため息をつき言う。
「ならばここで覚えろ。そのための学び舎だ、ポッター…」
「うん、そうする。ところで入ってもいい?」
スネイプの言葉を聞いているのかいないのか。
全く悪びれる様子も無く、少年―――ハリー・ポッターはキョロキョロと部屋を見回している。
「…入れ」
そんなハリーの様子にまた苦笑すると、ハリーを招きいれた。
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