HP部屋

□彼はアイドル(前編)
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最近ハリーはイライラしていた。
理由は至極、簡単。
『異様にスネイプがもて始めた』という事である。

最近まで『大嫌いな教師bP』の座を5年連続、首位独走。(グリフィンドール調べ)
フィルチか?!スネイプか!?そんな勢いであった教師が、である。
(まぁ、フィルチは教師では無い為、結局1位はスネイプで決まりなのだが)

嫌味ったらしく、無愛想で不機嫌なオーラを常に発している感じの悪い根暗な教師。
そんなイメージが定着していた中で『スネイプ先生の良さが分かるのは僕だけ』と優越感にも似た感情を抱いていたハリーにとっては、これはちょっと面白くない。

まぁ、それでも人気が出るのは良い事だ、とハリーも思う。
だが…ミーハーに騒ぎ立てるような人気はどうか、と思ってしまうのだ。

「ねぇねぇ!コリン!!スネイプ先生の生写真の新作出来た?!」
「ん〜…スネイプ先生は難しいんだよ…異常に勘が鋭いし…下手すると没収された挙句に減点されるから…」
「お金払うから!!なんとか!!ね?」
「え?本当に??じゃあ危険手当として受け取っておくよ」

こんな会話がそこかしこで繰り広げられている。
もはやアイドルの追っかけに近い。

スリザリン寮限定であったこのノリであるが、最近は全ての女子寮生がスネイプをやたらと崇拝し、追い掛け回しているのだ。

「女って本当、分からないよ…」
グリフィンドールの談話室。
ソファーにグダっともたれながら、ロンが完全に呆れた様子でぼやいていた。
ロンの視線の先では、ジョージとフレッドが『スネイプグッズ』と称した何かを嬉々として売りさばき、それに女子生徒が群がっている。

「こんな物に金払うなんて…」
ロンの手には双子から無理やり押し付けられた(売れ行き好調で浮かれていたのだ)謎の布キレ――端っこの方に小さく『セブルス・スネイプ』と刺繍されている――があった。
どうやらハチマキらしい。

「いくらなんでも流されすぎね」
さすがにハーマイオニーはこの騒ぎには参加していなかったが、異様な熱気にちょっと興味があるのか、しばしグッズ売り場に視線を走らせていた。

「…騒ぎ過ぎだよ…」
「あら、ハリー。ヤキモチ?」
「違うよ!!」
ムッツリと不機嫌そうなハリーをハーマイオニーが茶化す。

こんな風に騒いだ所で、スネイプがうろたえるはずもない。
ましてや、恋人であるハリーを裏切るような事になるとも思えない。
だが、どうしようもなく腹が立つのは抑えられなかった。
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