DS部屋

□逃げ切れぬ愛
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「おい、こいつまだ意識があるぞ」
スティーブの悪魔の囁きの直後、ガネンのガスの息によって気を失いかけていたダレンだが、やや強くなっていたバンパイアの血がギリギリで意識を繋ぎとめていた。

「ふむ。しかし、声は出せまい。じきに意識も失うだろう」
ダレンの瞳孔の様子を探りながら慎重にガネンは呟いた。

「おもしれぇ」
スティーブは足でダレンの頭を一度小突くと、髪の毛を掴み無理やり体を引き起こし顔を近づけ囁く。

「今更、泣いたって許してやれねぇぞ?お前は俺を裏切った」
ふと、スティーブの憎しみの中に悲しみが宿る。
しかし、今のダレンにそれを気遣ってやる余裕は無かった。

「(裏切ってなんかいない…!!クレプスリーだって!!裏切ってなんかいない!!)」
もはや唇すら動かない。が、必死でスティーブを睨みつける。

「いいや、お前は俺を裏切った」
まるでダレンの思考を読んだかのように、スティーブはダレンの瞳を睨み返しながら言い募る。
「お前は裏切った事を認めたくねぇようだが、そのセリフをお前の家族に向かって言えるか?」
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