DS部屋

□闇の運命(前編)
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「ダレン、起きてるか!?」
真夜中の兵舎に馬鹿でかい声が響き渡る。
しかし、その声にわざわざ飛び起きたりする者はいなかった。
毎晩のように押しかけてくるスティーブにいちいち驚く者は最早この兵舎にはいないと言っても良いだろう。
また来た…そんな気配が辺りを包みちょっぴり苦笑いするような気配まで伝わってくるようだった。

「スティーブ…声が大きいよ…」
大声で呼ばれたダレンも、ため息なんかを吐きつつ、自分がウキウキしているのに気が付いていた。
自分とは違って兵隊ではないスティーブと会えるのは夜だけだ。

そして、単なる兵卒であるダレンにとって、夜、スティーブと遊びに行ける時だけが、唯一、羽を伸ばせるひと時だったのだ。

スティーブとダレンの接点は、全く無いと言っても良い。
年齢も違えば、生い立ちも育った環境もおそらく違う。
ただ、ダレンが兵隊になる前―孤児院にいた時から―スティーブはなにかとダレンを気に掛け、ちょっかいを出してきていた。
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