DS部屋

□闇の運命(中編)
1ページ/13ページ

「今日からお前らの司令官になる。スティーブだ。よろしくな」
それはある日、唐突に決まった。
一体、スティーブがどのような裏工作をしたのかダレンには分からなかったが、とにかく何やらエゲツない事をしたらしい事は、周囲に漂う空気で知れた。
人の命を握る『司令』という立場に新たに立った人物に、周りの兵士達は露骨に危機感を露にした。

「(毎晩、ダレンのとこに来てた奴じゃねぇか…)」
「(あんな奴に俺らの命が託されるのか?)」
「(冗談じゃねぇぜ…)」

そんな兵達のザワメキを完全に無視し、スティーブは平然としている。
そんなスティーブの様子に軍の上層部からやって来た男が一つ咳払いをしながら、スティーブの隣に進み出た。

「(ミスター・タイニーだ…)」
「(なんだってわざわざ…?)」

ミスター・タイニーと言えば『地獄を愉しむ男』として兵士の間で伝説にすらなっている人物である。
自らの愉しみの為に、死を招く死神。
その名は多くの兵士にとって恐怖の対象であった。

そんな兵士のざわめきすらも愉しむかのように、ミスター・タイニーは愉悦の笑みを浮かべ、話し始めた。

「新しく司令になるスティーブ君だ。まぁ、まだこの男は司令としての経験は積んでいない。が、その分特別にこの隊には『参謀』を付ける事が正式に決まった。主に司令の仕事の補佐がメインだが、なにか分からない事があったらこちらの『参謀』を頼りにするといい。こちらは優秀な成績を治めていた軍人だ。諸君にとって大いに頼りになるだろう」

いかにも『司令はお飾りだ』とでも言いたげな口調で、ミスター・タイニーは横目でスティーブを見やる。
その露骨な言い回しにさすがにスティーブもムッとしているようだったが、兵士の多くはその言葉に安堵した。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ