DS部屋

□闇の運命(中編)
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「紹介しよう。クレプスリー『参謀』だ」
その紹介された人物を見て、ダレンはまたもや仰天した。
「先生!?」
どこからどう見てもダレンの孤児院の「先生」
クレプスリー先生だ。

「今日から我輩が特別にこの隊の『参謀』となる事になった。正直、引退した身ではあるが、事情を聞いて嫌とも言えなくなった。諸君らの命は我輩が守る。共に祖国を勝利に導き、平和な世を生きよう」
チラリとダレンを見やった後、クレプスリーは隣に居るスティーブに皮肉を言うように朗々と演説を打った。
明らかにスティーブに敵愾心を抱いている。
そういえば、この二人は昔から異常なまでに仲が悪かった事をダレンは思い出していた。この二人が手を組む事になろうとは…ダレンは内心でうめいた。

「というわけで、諸君の隊には新たな同志が二人加わることになった。諸君の健闘を祈る」
ミスター・タイニーはここで一旦言葉を切り厳かに続けた。
「死してなお、勝利の栄冠に輝かんことを」
そう言うと、ミスター・タイニーは中指を額に、人差し指と薬指をまぶたの脇、親指と小指を頬に広げて独特のポーズを取りニヤリと嗤った。
これはダレンの祖国にとって『敬礼』に代わるポーズであった。
兵士達は皮肉を込めて『死のポーズ』と呼んでいる。
ミスター・タイニーは死のポーズの後、ゆっくりと兵士一人一人の顔を見渡した後、壇上から降り足早に立ち去った。
壇上ではまだスティーブとクレプスリーが睨みあっていた。
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