忍受小説
□ねこみみ☆Christmas
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「じんぐっべー♪じんぐっべー♪すっずがーなるぅ〜♪」
本日、12月24日言わずもがなクリスマスイヴ。
跡部邸には、跡部家のいたずらねこみみ天使(推定5歳)の侑士の楽しい楽しい歌声が響きます。
クリスマスだというのに、例の如く勉強に打ち込み部屋に閉じこもりきりの景吾に対し、侑士はおとなしくリビングでテレビを見ています。
そんな侑士の後ろでは、皇室御用達の海外のアンティークショップから取り寄せたソワァで、クリスマスを機に、何かしら肖ろうとやってきた慈郎が寝ています。
「わぁー!!ジロちゃん見て!!すごいぉ宝の城やで!!」
「へ?なになに?」
突然の侑士の呼び声に、慈郎はソワァから落ちながらも反応しました。
「すっごい、いっぱいゆーしが欲しいものあるん!!」
侑士は、テレビに写るその宝の城を指さし、足をばたつかせます。
「へ〜?ん、おもちゃやさんのこと…?」
慈郎は、侑士の指さす大手玩具屋のCMを見遣ります。
「ゆーしもあのお城行きたい…」
侑士は、二階の景吾の部屋の方を見ながら、ぽつりと呟きました。
「じゃ、俺が跡部に頼んであげるCー」
慈郎がそう言って侑士の頭を撫でると、侑士はしょぼんと尻尾を垂らしました。
「…行きたい言うたら、きっと景吾兄たま連れてってくれるかもしれへんけど…………またわがまま言うて困らせたくないねん…」
侑士は俯きながら呟きました。
「わかった♪俺が連れてくよ!その宝の城にさ!!それで内緒で跡部にもプレゼント買ってこようよ!!」
目をまんまるくさせ見つめる侑士に、慈郎はにこりと笑いかけました。