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□頑張れ謙也君!!
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頭にきた俺は、ズカズカと侑士の方へ歩み寄った。
「ゆうっ…!?」
俺が侑士に近づこうとすると先程のブルジョア男が立ち上がり、俺の前に立ちふさがった。
「何やお前…。」
俺の侑士の肩を抱くなんて一億光年早いっちゅーねん。マジむかつくからかなり低い声で言ってやった。
しかし俺はびくともせず。
「この俺様にむかって《お前》だと?…何様だてめぇ…。」
何やのこいつ…ι
一人称が《俺様》やで…?
…さっすがブルジョアやわ…
って、俺が感心してどないすんねん!!
「おっ…お前こそ、何様やねん!」
「アーン?俺様だよ。」
まっ…まんまやんけ!つーか、《アーン?》って何やの?!
こいつブルジョアよか吉●行った方がええんちゃう?
てか、今のは受け狙いなんやろか?つ…つっこんだ方がえぇんやろか?
…って、そないなトコ悩む必要性は全く以てあらへんのや!!
つ…つい、お笑いの血が騒いでしもーた…。
気を取り直して…
「俺は侑士の従兄の忍足謙也や!」
「アーン?…おい忍足、てめぇーの従兄とか言い張るエセ従兄が来てるぜ?」
ブルジョア・吉●が、やっと俺の前を退く。
「あ、謙也やないか!!」
侑士は膝の男から逃れ、櫛を置き、俺の元へと小走りでやってきた。
「侑士…!!会いたかったでー!」
俺は駈けてくる侑士を思い切り抱き締めた……
ん?…侑士ってこないごつごつしとった?
俺は思わず出た涙を拭い、目の前の侑士を見た…
…って誰やねん?!
「…巨人…?!」
俺の前に立ちはだかる壁…じゃなくて男は、つぶらな瞳で俺を見下げてくる。
「バウ…!!」
ほっ…吠えた…?!
もしかして威嚇?!
「バウ!ダメやろ?そいつは俺の従兄の謙也やで。敵やないんよ。」
侑士はまるで動物でも宥めるように、巨人…侑士いわく《バウ》の頭を撫でた。