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□風雲少年跡部
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「なんか文句あるよーじゃねぇか。そこのメガネ」
コートの中央に堂々と君臨する跡部の目の前に、丸眼鏡をかけた氷帝レギュラージャージを着た一人の少年が現れた。
「…何がメガネや…」
少年はボソリとつぶやくと、相手側のコートへと足を進めた。
「アーン?そんな細腕で、俺様とやり合う気か?」
跡部より僅かに背の高い少年は、コートの真ん中で身構える。
「すげー!何?まだ試合やるみたいだC」
「あれ?!今いるのって確か、関西からきたっていう一年の…」
静まりかえったコートに、宍戸達の声が響く。
「お前も噂されてるみてぇだぜ?」
跡部がボールに手をかける。しかしその視線は、目の前の少年に一身に向けられている。
調った顔立ちを隠すようにかけられた眼鏡の奥の瞳が少しだけ揺らいだ。
「…お前やない、忍足侑士。小学生ん時、榊監督に誘われてこっちきてん…」
「監督に…?フッ…やっと骨のある試合が出来そうだな。相手してやる!!全力てこい!!」
跡部の怒声と共に、試合は幕をあけた。