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□風雲少年跡部
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「やべぇ…この試合、どっちが勝つか全くわかんねぇ…」
そう呟いた向日の前には、タイブレークに突入した二人の姿があった。
「…てめぇ…なかなかやるじゃねぇか…」
「…アンタもな」
既にお互い限界のところまできていたが、忍足のポーカーフェイスは全く崩れない。
「だが、これで終わりだ!!!破滅へのロンドだ!!」
200人の頂点に達する部長にすら打たなかった跡部の秘技で、長かった戦いに終止符が打たれた。
「…負けてしもたわ…」
試合終了と同時に、忍足は倒れるようにコートに横たわる。明るかった太陽がいつの間にか橙色になって侑士の体を染めていた。
その色が影でなくなった瞬間、侑士はハッと目を開ける。
そこには、跡部が右手を差し出していた。
「ここまで俺様を楽しませた奴は、そうはいなかったぜ…忍足」
忍足は、素直に跡部の腕に手を差し延べる。
「ありがとう…俺も楽しかったで。悔しかったけど、また対戦してや？今度こそ勝ったるから」
そう言ってニコリと笑った忍足の笑みは、まるで今跡部と戦っていた人物とは思えぬほどに、やさしかった。
「お前ら!!何をしている!!!」
白熱した戦いにざわついていたギャラリーが、一気に静まり帰る。
「…監督!!」
観戦席にいた先輩達が監督の前に瞬時に整列し、少し前まで部長だった人物が事情を説明する。榊は眉をひそめ、跡部と忍足を見遣った。
「…全員校庭100周。その後、跡部は私の所に来なさい」
「…監督!やはりこの試合は無効ですよね」
部長だった男が嬉々として榊にとう。
「あぁ…無効だ。正式な審判がいての試合でもなかったようだしな」
跡部に負けた先輩達が一斉に、跡部を小ばかに笑い、跡部は肩を落とした。
「よって明日、校内試合を行う。部長だけではない、全レギュラー部員のな。力ある者が頂点に君臨する…それが我が氷帝のやり方だったろう？」
榊の鋭い瞳は、いくら部長が自分達に有利な弁解をしようと、全てを見透かしているようであった。