忍受小説

□ねこみみ☆Christmas
3ページ/5ページ


「ジロちゃんジロちゃん!!見てみーこれ押すと変な音なるで!!」


テレビアニメの変身用ステッキをもち、侑士は成り切ったようにそれを回します。




そんなこんなで、玩具屋の端から見て来た二人は、時を忘れて、あっという間に外は暗くなってしまいました。


「侑ちゃん、そろそろ帰らないと!!跡部に出掛けたこと見つかっちゃうよ!!」

慈郎は、6時を誘うとしている腕時計を見遣りました。


「どないしよ…」

侑士は絵本コーナーまで来て立ち止まりました。

「侑ちゃんは絵本が欲しいの?そるとも跡部へのプレゼント?」

慈郎が侑士の顔を除きこむと、真剣そうな眼差しが返ってきました。


「ずっと前な、ばぁばさんに聞いたことあんねん…」

「ばぁばさんって、あの跡部のばあやの…?」

侑士は頷きました。

「景吾兄たま、小さい頃はばぁばさんに絵本読んでもらうのが好きやったんやって。せやから、ゆーしもって思うたんやけど、ここにあるご本はお家にあるから景吾兄たま読んだことあると思うて…」

侑士は、うーんと頭を抱えました。それに慈郎も頭を捻り、しばらくしてポンっと手を叩きました。

「だったら、世界で一冊しかない本を作るってのはどお?」

慈郎の提案に、侑士も目を輝かせました。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ