忍受小説
□跡部家妖怪伝
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■エピソード1■
※注意※
跡部の祖父(跡部賢吾)が主人公。
妖狐忍足。
大丈夫な方はどうぞ↓
「ここら一帯は、昔妖怪や幽霊が出るって噂が立って買い手がつかんでねぇ。でも、近々この近くに線路が作られるって話やし、会社を作るなら、土地は安いし好都合やろ」
不動産屋の年老いた男は、一人の青年を敷地内へと案内する。
生い茂った木々ばかりが立ち並ぶ広大な土地は、よくある陰湿な噂により異常なまでの安さで提供されていた。それに目をつけたのが、東京にある本社に続き、関西にも小会社を作ろうとする若手実業家の跡部賢吾だった。
「あれは…?」
木々に囲まれた中、鳥居と小さな神社のような建物を見つけた。神社と言っても、長年何の手も加えられてないせいで屋根には穴が開き、軸の柱を触れば一瞬にして壊れてしまいそうな建物だ。
「あれは、昔ここいらを護ってた化け物が奉ってあるらしいで。まぁ、もうんな事忘れさられて建物もこんなおんぼろになってんけどな…」
「化け物…?」
「ん、お兄さんもまさか、そんな迷信信じるんか?」
化け物と聞いて、一瞬怯みはしたもののこんな格安な物件そうはない。
「いや、“化け物”が人間を護るなんて珍しいなぁ…と」
「それもそうやな。確か確か人間に化ける妖狐とか言ってたか…もう何千年も前の話らしいからなぁ。」
跡部が、そっと建物の中を除くと、一体の女性らしき像が見えた。
暫く見て回わり、跡部は二つ返事でその土地を買い取ることを決めた。その夜のことである。跡部は近くのホテルで、眠りについた深夜に事件はおきた。