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†ジキルとハイド†
女体忍足、シリアス、仁忍、柳生忍
※注意※
同名作品とは、全く関係ありません。
宜しければ以下にお進み下さい。↓
※※※※※※※※※※
娘の名は、忍足侑士といった。
町はずれにある小さな本屋である彼女の家は、数年前に亡くなった父から引き継いだもので、かなり古く、本が売れることは殆どない。
だから収入は殆どなかったが、庭で作る野菜や彼女の気立てのよさを慕ってくる人からの貰い物で、女一人が生きていくには十分事足りた。
その日も彼女がいつものように店の奥で、本を整理していると入口の鈴がなった。
「こんにちは。頼んでおいた本は入りましたか?」
入ってきたのは、メガネをかけた一人の紳士。丁寧に切り揃えられた前髪、きっちり分けられた分け目。服の襟は上部までしめられ、外見からも彼の几帳面さがわかる。
「あ、柳生さん。今さっき入ったとこなんですよ。どうぞ」
侑士が本を差し出すと、彼は微笑み、本をうけとった。その表情に、侑士は少し顔を赤らめた。
「ここは、町で唯一の本屋ですからね。助かりますよ」
柳生は受け取った本をパラパラとめくる。
「うちも柳生さんが1番のお得意さんです」
侑士はにこりと笑う。
「それでは今日はこれで…。今度お時間がありましたら、是非うちにも遊びにきてください」
「はい…!!」
柳生は軽く頭を下げると、店をでていき、外に止めてある馬車へと向かった。その後ろ姿を侑士は見つめていた。