短編集
□鳥籠
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偽りも 真実も
すべては一つ
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ある朝、窓枠にとまった一羽のスズメが僕に言う。
「ねぇ、君は自由にならないの?」
僕はスズメに言う。
「籠の中は自由だよ」
「だけど、その籠は狭くないの?」
ちょっと考えて、僕は言う。
「外の広さを知らないから、僕にはわからないよ」
ある昼、窓枠にとまった一羽のハトが僕に言う。
「なあ、君は自由にならないのかい?」
僕はハトに言う。
「自由はつらいからダメなんだ」
「しかし、籠の中は本当に幸せかい?」
ちょっと考えて、僕は言う。
「本当の幸せが、僕にはわからないよ」
ある夜、窓枠にとまった一羽のカラスが僕に言う。
「おい、君は自由になりたくないか?」
僕はカラスに言う。
「でも、自由は危険だよ」
「そうかもな」
ちょっと考えて、僕は言う。
「自由なことは幸せかい?」
E N D .