短編集
□Happy Bad Ending
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「・・・・・・」
ここは暇すぎる。
消灯時間が過ぎれば、外を見るか寝るだけ。
二十歳を過ぎたばかりの僕には、とても耐えられない。
「・・・・・・」
ただ、無言で外を睨む。
都会の灯りが輝くだけで、空には何もない。
まるで、天と地がひっくり返った風景は何時も、同じ輝きを保持し続ける。
「・・・・・・」
いい加減に外を見るのを止めて、ベッドに潜り込む。同時に病院特有の香りが、肺の奥底まで行き渡った。
「……明後日が…」
言いかけた言葉が、途中で止まった。
どうせ、助からない生命だ。不安や迷いを断ち切って、潔く散ることにしよう…
──★──★──
次の日、朝一番で病院を後にした。前に医者に外出許可を求めたら、あっさりと許可された。
手術の成功確率が少ない僕に、医者からの最後の贈り物だろう。
そんな医者に心の中で感謝して、歩き出した。
…未練を断ち切るため