短編集

□いびつな約束
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見つけるまで

 付き合いない




  [いびつな約束]













 太平洋側じゃ有り得ないような雪が降る、今日この頃。

 学校の屋上に敷き詰められたフカフカの雪の絨毯に大の字で寝転がる俺。すでに数十分は経過しているため、指先や足などの末端部の感覚は無い。

「このままでいたら……」









 死ねるのだろうか?




 そんなクダラナイ思考が頭に浮かんだ瞬間、突如として目の前に人の顔が逆さに現れた。

 あいつの顔。

「おーい、生きてますか?」

「一応」

 何気ない会話なのに、勝手に身体が反応する。

 心臓の鼓動が速まり、死にかけの末端部に紅い血が供給され、それまで無くなっていた感覚が戻っていく。

「……髪、当たってんだけど」

 些細な事なのに、とても息苦しい。

 速くなりすぎた心臓が、まるでオーバーヒートでもしているように。

「ごめんごめん」

 無邪気で楽しそうに笑うあいつは顔を引っ込めた。そして、俺は上半身だけ起き上がり向き合うようにして座った。

「はい、これ」

 差し出された缶のホットコーヒーを受け取り、代わりに着ていたダッフルコートを隣の雪の上に乗せた。

「ここ、座れよ」

「……あんたはどっかの紳士かよ」

「どこが?」

 「もういいわ」と言って、あいつは呆れたような顔をしてダッフルコートの上に座った。

「それで、見つかった? 生きる目的」

「いや、おまえ以外見つからない」

 そう言うとまた呆れた顔をされた。だけど、前と違って落胆の色も見える。

「それじゃいつまでも付き合えないじゃん……前も言ったけどあたしだけが生きる目的ってのは、本気で嬉しいよ」

 口調は次第に弱くなり頬も少し赤らみてきたところで一息ついた。
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