短編集

□二人の世界
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刹那よ


永遠であれ







[ 二人の世界 ]










オレンジ色の太陽だけが照らす海の防波堤に、僕等は並んで座っていた。


辺りには何もなく、僕等の邪魔をするものは誰もいない。


「ねえ、せっちゃん」


隣にいるトワが僕を呼んだ。


「私、せっちゃんが好きよ」


「……うん」


精一杯の力を振り絞って言えたのは、たったそれだけだった。


「だから、最後まで側にいて欲しいの」


僕は何も言わずにトワを抱きしめた。



本当は、何も言えなかった。


何かを言おうものなら、きっとそこから気持ちが溢れ出してしまい、トワを困らせてしまうだろう。


「ありがとう」




しばらく、僕等は何も言わずに抱き合っていた。



お互いの存在を確かめる為に。

お互いの存在を刻み込む為に。



「ありがとう」


トワは小さくそう言うと、唇を重ね合わせた。



最初で、最後の口づけは


切なくて

悲しくて


それでもこの瞬間が


いつまでも続いて欲しいと思えた。


だけど

それでも、唇は徐々に離れて行く。


「せっちゃん、私がいなくなっても……ずっと、ずっと……生きていてね」


「……うん」


「約束……だから、ね」



「……う、ん」



「私、ずっと……刹那の…こと」








愛してるよ








「っ……!」


堪えてきたものが、全て溢れ出した。

目が熱くなって、涙がとまらずに雫になって落ちていく。



「僕も……永遠を、愛してる」




愛しい人を抱き寄せ


僕は泣いた


情けないほど声をあげて





いつまでも







いつまでも








最愛の人を抱きしめて







F i n.









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