―本音を伝えるのは嘘を吐くより難しいんだな。

薬を一粒飲んで心を落ち着かせる。彼には精神安定剤なしに会うことは出来ない。

「あぁ…ちょ…!!」
俺が雄を上下に扱くと彼は真っ赤になって手を突き出してきた。突き飛ばされてなんかやらない。
「気持ちええじゃろ?」
「仁王く…!!」
歪んだ瞳から一筋の涙。それを掬い取ってペロリと舐める。蜜みたいに口に甘さが広がった。
「今だけは俺のもんじゃけえ。」

涙が出るかと思った。欲望と独占欲の塊の液体。
彼を無理やり呼び出し自分の思うままに手なずけた。
まるで愛していないかのように伝えて、手なずけて抱きしめた。

胸の突起を舐め、片方は爪で引っかいた。そのたび、不二は切ないため息をついた。

クラクラする。

「ニオ…んっ!」

そんな声で呼ぶな。
間違えるじゃないか。

執拗に雄を扱いた。不二の声はどんどん甘くなる。
今度は後ろの穴に指を一本入れた。

「あっ…!!」

声がまた高く甘くなった。
指をもう一本と増やした。“そんなのはもういい…”って不二が甘い声で言った。
蜜もどんどん溢れてくるから。すんなりと俺を受け入れた。

「仁王…ん…イイ!!」
範疇を越えた甘い声。

呼ぶな。
呼ぶな。
愛されていると間違うから。

「もっと…名前…よん…」

不二の中があったかい。
不二の声がもっと聞きたい。
不二ともっといたい。
不二の気持ちが欲しい。

嘘なら沢山つけるのに。

「てづ…」

――不二の心の隙間に付け込もうとした。手塚が居なくて泣いていた不二の心に付け込もうとした。

果てた不二を腕に抱いた。

精神安定剤がないと不二に会えない。
心が保てない。

勘違いしてしまう。

心が渇いてしまう…

不二が甘すぎる。

 ○●END●○

3精神…初仁王不二。
心が渇くって淋しいです。
二人は両想いかもしれません。不二は手塚の影に罪悪感を覚えているんです。
 
 虹月ウメ

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