Story of CCFF7

□Mission:010
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※ ※ ※
――伍番魔晄炉内・謎の施設。

リエール「ねえ、ジェネシス。
もう帰りましょう。
このままじゃあなたは余計追い詰められる形になってしまうわ。
神羅からも…私たちからも――」
ジェネシス「…帰る?
どこにだ?
俺はモンスターだ。
モンスターを神羅が受け入れるとでも思っているのか?」
リエール「…だったら作ればいいじゃない。
帰る場所を――」

ジェネシス「リエール――」
セフィロス「リエール…!」

双方が思いを寄せる人からの提案に刹那息を呑む二人にだったが、リエールは真剣な表情で話を続ける。
リエール「…私の王国のあった場所なら誰も知らない異世界の地だから、神羅の手が届くこともないわ。
そこで色々と気持ちを整理して、準備してから動いても遅くないと思うの」
彼女の言葉に、ジェネシスは黙りこくる傍ら。
彼女の話は続く。
リエール「…それにセフィロスが言い出した事だから言っちゃうけど、会社はあなたたちの抹殺を決定し――
まもなく神羅軍が投入されることになっているわ」
ジェネシス「…そうか。
それで俺たちを殺しにきたんだろう?」
リエール「いいえ、違うわ。
軍が動くまでは時間の問題――
それまでにあなたたちを先に見つけ出して、わざと抹殺に失敗する――
セフィロスと話し合ってそう決めたの」

ジェネシス「セフィロスが…?」

ジェネシスは意外そうな顔をする。
どんな任務であっても私情を挟まず、確実に遂行してみせるこの英雄が、友とは言えど神羅を裏切った自分たちにこの期に及んでも情けをかけるなど、夢にも思わなかったからだ。

リエール「私たちはあなたを救いにきたのよ。
だから……」

ジェネシス「――リエール。
セフィロスの背後でそう言われても説得力がないぞ」
リエール「だ、だって…」
ジェネシス「ふ…この期に及んで何を今更――
英雄らしくもないな」
セフィロス「提案したのはリエールだ」
リエール「ちょっとセフィロス!
こんなときにカッコつけたってしょうがないでしょ!」

ジェネシス「…ならばリエール」

言ってジェネシスはゆっくりとリエールのそばまで歩み寄り――
彼女のあごをくい、と軽くあげて瞳をまっすぐ捕らえたまま、彼は告げる。
リエール「ジェネシス…?!」
ジェネシス「…お前の未来を全て俺に託すというのなら――
考えよう」
リエール「そんな…ジェネシ――」
言いかけた彼女の唇には、ジェネシスの唇が重ねられて塞がれる。

ジェネシスの舌は彷徨う彼女の舌を絡めとり、二人の唇からは透明な線が繋がれる。
リエール「ん…っ」
ジェネシス「リエール…」
リエールの鮮やかな青い瞳に浮かぶのは、無垢なる透明な涙――
リエール「酷いよ…ジェネシス…」
ついに最愛の人・セフィロスの前で犯してしまった過ちに、彼女のあふれる涙は止まらない。
セフィロスはずっと二人から視線を逸らしたまま――
ジェネシス「…俺は真剣だ。
お前のことを心から愛している。
どうしてもお前を手に入れたい」
リエール「…気持ちはうれしいけど――」
セフィロスがいる以上、ジェネシスには伝えられない。

このまま未来を全部君にあげるから――とは。

セフィロス「…なぜそうまでしてリエールにこだわる」
セフィロスが射抜くような、ただならぬ嫉妬心をその眼に潜ませながら、彼は静かに言い放つ。
ジェネシス「言っただろう?
彼女を愛しているからだ、と。
彼女が俺たちにとっての女神ならば、『女神の贈り物』を手にできるはずだ。
…リエール。
俺はお前を信じている――」
そう言って漆黒の片翼を広げ、ジェネシスはいずこかへと飛び去っていく。

リエール「ジェネシス……」

セフィロスとジェネシス――
愛と友情・真実の狭間で彼女の心は大きく揺れ動き、その心は決して明けぬ霧の中をただただ彷徨い続ける。

セフィロス「…………」
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