Story of CCFF7

□Mission:000
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※ ※ ※
異世界、ドラゴンズ・キャニオン。

――それは、彼女が13歳になったばかりの時に起きた事件だった。

兵士「キング・アーサー様!
緊急伝令にございます!!」
アーサー「どうした」
聖竜騎士族の王の間。
兵士が酷く顔色を青ざめさせ、息を切らしながら震える声でそう告げる一方、全身を真っ白な甲冑で覆い、玉座に悠々と構える――キング・アーサーと呼ばれたその男は、反対に顔色を何一つ変えずに、低い調子でそう尋ねた。
兵士「アーサー様の弟君が…我が王国を自らの王国に取り込むべく、数多の黒竜と一般竜騎士を率いてこちらに進軍中との情報でございます!」
アリシア「そんな…!」
アーサーの隣で話を聞いた彼女は、ショックを隠し切れずにそう驚嘆の声を漏らした。
アーサー「…我が弟ながら、幼少時より奴の私利私欲の考えには相容れず、よくぶつかり合ってきたものだが…。
ついに本格的にこの私に牙をむいてきた…というわけか」
玉座より静かに立ち上がったアーサーに、これから起きる戦いの予兆を察した妻のアリシアが問う。
アリシア「…戦うのね」
アリシアは知っていた。
夫とその弟が、はるか昔から考え方の相違から幾度となく牙をむき、いがみ合っていたことを。
しかしアーサーは聖竜騎士族の長でありながらも戦いを好まず、できる限り話し合いの方向で持っていこうとしたのだが、最終的には互いに牙をむく結果で終わり、決着はつけられないまま今日まできていた。
だからこそ、今日と言う今日はこのぶつかり合いを避けられぬということを感じたアリシアは、意思確認のために夫にそう尋ねたのだった。
アーサー「…戦わずして避けられる道は他にない。
ひいては、このドラゴンズ・キャニオンの未来の発展のため――
そして、リエール。
いつかお前が築くであろう、新たなるドラゴンズ・キャニオンとお前の輝かしい未来のため――」
リエール「お父様…」
アーサー「…リエール、お前は我が聖竜騎士族にとってただ一つの誇りであり希望だ。
…たとえどんなに辛く、苦しいことがあっても必ず生き延びろ。
お前が…この王国の新たなる希望となり、その道しるべとなるのだ」
アーサーは聖竜騎士族でありながら血のように赤い瞳を宿した男だったが、そのまなざしはとても優しく、その手を娘の頬に添えてそう告げた彼は、唯1人の娘であるリエールの事をとても大事にしていた。
リエール「…はい、お父様」
父の言葉から、同じくして決して避けられぬ戦いの予兆を感じ、力強く頷く彼女。
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