Story of Girl's Side 2nd Kiss

□Destiny001.新たなる星々の覚醒
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……暗幕の星々の中を裂き、貫いて突き進む、一筋の邪悪な彗星。

――『カレ』は遥か彼方からやってきた。
暗黒の中を彷徨い続けた『カレ』は、やがて闇の言葉に心奪われた。
闇を照らすものが光ならば、光覆うものこそ……闇。
されば光あるところに闇なきは、闇あるところに光なきに等しい。
光を光たらしめ、闇を闇たらしめるため、我は求める。

闇、あれと――

…そう、それは光と闇の宿命を説く、闇からの使者の、呪われた言葉――

その言葉が、光の時代にも届いた。
だが、その光の時代にも闇の心を持つ者が潜み、呪いに同化するものがいた。

そして……やがて『カレ』は闇と同化した。


※ ※ ※
――42世紀、ネオ・クリスタル・トーキョー。
クイーン・レディ・セレニティ=リエールと、キング=ハワードが統治する、光の世界。
全ての戦いが終わり、再び平和の時間を享受していた、ある日のこと。
この時代の天文学者が、太陽系に接近する巨大な彗星を発見した。
人々の間ではその巨大彗星の接近に沸き、ブームが沸き起こった。
彗星の話で持ちきりの人々。

…だが、同時に原因不明の疫病が広まり、何人かの少年少女が忽然と姿を消し――
苦しむ人々のために、クイーン=リエールはコスモス・クリスタルに祈りを捧げた。

クイーン=リエール「……!
…コスモス・クリスタルが震えている…」
キング=ハワード「…邪悪なエナジーを感じているようだ。
…それもかなり巨大なものだ」
クイーン=リエール「まさか…新たな、敵…?!」
依然、変わらずに、そのことを訴えるようにして震え続けるコスモス・クリスタル。
二人の間に押し寄せる不安の波と、異様なまでのこの胸騒ぎ――
クイーン=リエール「…やっと平和な暮らしが遅れると…思っていたのに…」
キング=ハワード「…リエール…」
互いに顔を見合わせ、戸惑いの色を隠しきれないリエールとロック。
…とはいえ、何かが起きてしまった後では既に手遅れ、修正がきかない。
この不安を少しでもかき消すために――
そして、事の被害が大きくならないうちに、と、考えた彼女は。
クイーン=リエール「…すぐにV6たちに調査してもらいましょう」
部下の守護戦士のV6たちにこのことを伝えようと、彼女がコスモス・クリスタルに背を向けた――その時だった。
キング=ハワード「…リエール!
コスモス・クリスタルが…!」
その夫の声にリエールが再びクリスタルの方へと向きなおしてみると、さっきまでの震えが嘘のようにぴたりと止まり、コスモス・クリスタルは普段と変わらぬ淡いピンク色の輝きを放って静かに佇んでいるではないか。
クイーン=リエール「…コスモス・クリスタルの震えが止まった…。
異変の兆しが消えている――
さっきの震えはなんだったのかしら?」
それからというもの、何らかの異変を感じていたはずのコスモス・クリスタルは、それ以来全くその兆しを示さなくなった。

――この地球に迫っていたのは異変ではなかったのか――

しかし、ほんのしばらくしてその疑問は彼女の一言によってかき消されたかに思えた。
クイーン=リエール「…きっと彗星の影響を受けたのよ」
キング=ハワード「…そうだろうか」
クイーン=リエール「…そうよ。
そうに決まっているわ。
なぜなら、この世界の平和はコスモス・クリスタルの輝きに護られて、永遠に続くのだから……」


※ ※ ※
一方ではその頃、遥か彼方の未来の二人の不安もよそに、その異変は時を超え、過去の21世紀の地球にも迫っていた。

――21世紀、東京都・M区。
リエールとロックの自宅・高級億ションのベランダ。

全ての戦いが終わり、ようやく訪れた平穏の日々。
娘のリエーシアもすくすくと成長し、今やお年頃で乙女咲き乱れる少女へと変わりつつあり、家族3人での幸せな日々を送る中。
今日という一日がまた終わり、明日という名の希望に向けて、美しい満月が夜空に輝く、静かな夜。
ロック「…どうしたんだ、リエール。
そんなところで突っ立ってたら風邪、ひくぜ」
リエール「ロック……」
ロックがふわりと後ろから美しき最愛の妻を抱きしめる。
彼女のすべてを包み込んで、そのぬくもりで暖めるように。
リエール「見て、ロック。
今夜はとても綺麗な満月よ。
…力が沸いてくるような、温かい光――
まるで私たちの幸せを、そっと見守ってくれているかのよう――」
ロック「…ああ、そうだな」
リエール「ねえ、ロック。
…これからもずっとこんな幸せが…続くといいわね」
ロック「勿論…続くさ。
俺はどんなことがあったって、リエールお前を…そしてリエーシアを護ってみせる。
この命に賭けて――」
リエール「…そうね。
リエーシアは私たちの、かけがえのない希望だもの」
ロック「…ああ、そうだな。
…愛してる、リエール」
リエール「ロック……」

――すべてが、何もかもが順調だと思っていた。
けれど、彼と深くも甘い口付けを重ねるたびに、リエールの胸には不安の色を帯びた疑問がふっとよぎる。

――この幸せは、長続きしないのではないか。
果たして、今のこの平和が、このままずっと永遠に続くのだろうか…と。

しかし、そんな彼女の不安を察したロックは、笑って軽く吹き飛ばした。
きっとここ最近の激務で疲れているから、そんなことを思うんじゃないのか、と。

「でも大丈夫だ、この俺が必ず護って見せるから――」

冗談の中にもそう言わんとするロックの毅然とした凛々しい眼差し。
その赤く透き通るような瞳に、ほっと安心感を覚えたリエールは、彼の胸にすべてを委ね、甘いそのひと時に瞳を閉じる。

その心に願うは、ただ一つ。

――どうかこの幸せが…永遠に続きますように――


※ ※ ※
そんな二人の熱い様子を、どこからか呆れたようにもじっと見つめる、5人の少女たち。

そして彼女たちも願っていた。

もしも……この運命が変われば、と。

果たして、この5人の少女の正体とは――
その言葉のもつ意味とは?

現在・過去・未来。
全ての運命を賭けた戦いが今、ここに始まる……。


これから………運命が変わる――
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