Story of Girl's Side 2nd Kiss

□Destiny002.新たなる星々の覚醒A
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リエーシア「ねえ…瑛。
このまま敵を野ざらしにしていたら、みんなの幸せな毎日が壊されていく一方だわ。
急にこんなことになって…まだ困惑していると思うけど、みんなを護るためにも力を貸してほしいの。
一刻も早く敵の正体を掴んで倒さなければ、またいつ瑛のお祖父さんも敵に襲われるかはわからないわ。
だから…だから一緒に協力して戦おうよ…!」
佐伯「う……」
リエーシアがその蒼い瞳で瑛の事を真剣な眼差しで見つめる一方で、瑛はその瞳に刹那たじろいでみせる。

リエーシアとは1年次から同じクラスだが、自分が喫茶店・珊瑚礁で夜バイトしている事が入学早々に彼女にバレてしまって以来――
彼女もそのことを一切誰にも言うことなく、また、こうしてありのままの自分を受け入れてくれて接してくれている。

リエーシア自身も、自分はハワード・コネクションという大企業の令嬢と言う肩書きがありながらも、それを決してひけらかすことはなくクラスメイトたちと接しているし、どんなことがあってもいつも前向きで明るくて――

いつしかそんなリエーシアに対して淡い好意を抱いていた瑛だったが、同時に彼女があの謎の正義の戦士・セーラーナイトで、しかもこんな大きな悩みを抱えていたことが逆にショックでもあって。

リエーシアの父、ロックが言っていた――
『君の目覚めたその力は…月のプリンセスを…リエーシアを護る力だ』というその言葉の意味――
その意味を心の奥でぐっと噛み締める。
この力が、本当にリエーシアを護るための力ならば――

佐伯「……………」
リエーシア「…瑛?」

佐伯「……わかった。
まだよくわからないけど…じいちゃんが傷つけられたのは俺は許せない。
そいつを捕まえて倍返しにしてやる」
リエーシア「…瑛…!!」
彼女に咲く、花のような柔らかい笑顔。
リエーシア「ふふ、ありがとう、瑛!」
佐伯「(…ズリィ。
そ…そんな顔したら余計断れないじゃんかよ…)」
リエール「――佐伯…瑛君、って言ったわね。
私の方からもぜひお願いするわ。
…これから先は辛い戦いになるでしょう。
困ったことがあったらいつでも連絡してね。
私達も次期国王・次期女王として、この戦いが終わるまで力を貸すわ」
ロック「…リエーシアのこと、これからも宜しく頼むぜ。
…俺達にとってもリエーシアは、新たなシルバーミレニアムを継ぐたった一人の大事な娘なんだ」
リエーシア「パ、パパ…!!」
リエーシアは大好きな父の言葉に赤面しつつも、隣の瑛はそんなロックとリエールの二人の姿を見つつ、ふと思う。

美人でとても優しそうなリエールと、きりりと凛々しいロックの姿に、リエーシアが真実この親に大切にされているんだということを実感する。

自分の親は常に体裁を気にしていて、自分が祖父の珊瑚礁を手伝うためにはね学にいくと言ったら、親は揃いも揃って泣き出して。

その親の唯一の約束として、学校の成績を落とさないこと――
だからこうして今、学校では優等生を『演じて』いるわけなのだが…。

だから…そんなリエーシアのこの温かい家庭が…家族が少し羨ましくもあって。

佐伯「――あ、そうだ、ロックさん。
リエールさん。
俺…この前ちょっと不思議な夢を見たんです」
リエール「…夢?」
佐伯「…はい、何でももう一人の俺自身が現れて…運命を変えるとかどうとか…」
リエール「何ですって…?
運命を変える、ですって…?!」
今度は反対に瑛が、自ら見た夢の中の出来事を語り始める。
――その事実を聞き、整った顔立ちを驚愕の色へと変えさせたリエールとロックは。
リエール「…そう。
そんな夢を見るなんて…」
ロック「…運命を変える、忌まわしき邪星、か…。
現在・未来…過去までをも思うがままに変える存在――」
リエール「やっぱりあの彗星はただの彗星じゃなかったのね…。
――そうだわ、これを見て欲しいんだけど」
言って彼女はノートパソコンを開くと、カチカチと鮮やかにキーボードを操り、とある画面を瑛たちに見せる。
リエール「…見て、この彗星のデータ。
この彗星全体から邪悪なオーラが発せられてて…予測不可能な数値が示されているの」
佐伯「…本当だ。
このデータ…確かにおかしいですね」
リエール「ふふ、このデータがわかるなんて、流石一番初めに目覚めた守護戦士だけあるわね。
お姉さん、期待しちゃうわよ」
佐伯「は…はあ…。
それはどうも…(照)」
ロック「…リエール」
リエール「もう、いやね、ロック。
ふふ、そんな怖い顔しないでよ」
ロック「…やれやれ…」
ロックが最愛の妻の冗談に嘆息する中。
画面に表示されているそのグラフは、しっかりとある文字を形作り、彼らに伝えていた。
『Ω(オメガ)』の形に湾曲させて――……。

それは、ギリシャ文字で『最後』を意味する文字――

それはこの彗星からのメッセージなのか?
不可解なその疑問は解けることはなく、更にその謎を深めていく。

リエール「…それで…次のデータなんだけど――」
彼女が再びキーボードを操作した時――
その時、異変は起こった。
リエール「あ…あら…?
何かパソコンの調子がおかしいわね…。
フリーズしちゃったみたい」
つい今しがたまで、パソコンは間違いなく正常に動いていたはずなのに。
それなのにどのキーを押しても全く反応を示さなくなってしまった。
ロック「…ちょっと貸してみな。
俺がやってみる」
リエール「ええ…」
リエールからノートパソコンを受け取り、見かねたロックがエンターキーを押した瞬間――!
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