Story of Girl's Side 2nd Kiss

□Destiny003.オーブを探して〜クリス編〜
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※ ※ ※
――ハンスの家。
クリス「う……」
ハンス「気がついたみたいですね。
大丈夫ですか?」
クリス「ここは…?」
気付けばふかふかの暖かいベッドの中。
僕は少し朦朧とした意識で目の前の男の子に尋ねた。
ハンス「ここは僕の家です。
君は氷河の下に倒れていたんですよ」
…ああ、そういえば追いかけてきた敵さんから逃げようとして、崖から足を踏み外したんやったな。
クリス「…ほんなら君が助けてくれたんやな、おおきに。
…それで、君は?」
ハンス「僕はハンス。
君の名前は?」
クリス「僕は…クリストファー…やのうて、ガーディアン・アクアプリースト。
カッコエエ名前なんやけど…長いしメンドいからクリスでええよ」
ハンス「クリス君、ですね?
わかりました」
クリス「それで…ここはドコなん?」
ハンス「ここはカイネスという村です。
この村は氷河の下に閉ざされていて、200年位前からこの村は氷河の下にあるそうです。
…この村に人が来るなんて、もう何年ぶりのことでしょうか。
でもまあこれも何かの縁だろうから、ゆっくりしていって下さい」
クリス「うん、こちらこそよろしゅう。
おおきに」
ハンス君が立ち去ったあと、僕はベッドからもそもそと出ると、そのままハンスの家を出た。
まだちょっと怪我したところはジンジン痛むんやけど、佐伯君も僕の帰り待っとってん。
はよオーブ探して帰らな、な。

すると、ハンス君の家出た瞬間、胸元が青くキラキラ輝いてんやんか。
…そう言えばママさんが言うとったな。
陽のブルーオーブが近くにあると、それに反応して僕の体の中にある陰のオーブがキラキラ光るって。
たぶん陽のブルーオーブと共鳴してるんやな。
どうやらこの辺からオーブのある洞窟は近そうやけど…どう行ったらええんやろか??
あ、ハンス君に道、聞いてみようかな。

クリス「ハンスくーん」

ハンス母「ごほっ、ごほっ!!」
ハンス「母さん、大丈夫?
少し眠りなよ」
ハンス母「…ありがとうよ、ハンス。
ごほっ、ごほっ…いつもすまないねぇ……」
ハンス「クソ…日に日に具合が悪くなっている。
一体どうしたら……」

……なんか苦しそうな声が聞こえるけど…。
とりあえずハンス君に聞いてみよう。

クリス「なあ、ハンス君。
洞窟までの道…聞きたいんやけど…。
あっ、お母さんどないしてん?
具合…とっても悪そうやねんけど」
ハンス「…そうなんだ。
アンデンク村に行ってシュバルツ先生を呼びに行きたいんだが、母さんが…」
ハンス母「ごほごほ…っ…」
ハンス「母さん、しっかりして…!」
クリス「ハンス君……」
そっか…ハンス君はたった一人でお母さんの看病、しとるんやな。
ハンス君とってもエライわぁ、僕も見習わなあかんなぁ…。
ならばここは困った人たちの正義の守護戦士、このクリストファー=ウェザーフィールドの出番やな!
クリス「ほな、一つ教えてほしいんやけど…そのアンデンク村はどこにあるん?」
ハンス「えっ…アンデンク村はこの村の東の方角――
もしや、シュバルツ先生のところに?」
クリス「せや!
助けてくれたお礼に…と思ってん」
ハンス「…でも村の外には怪物が出るって話なんだ。
本当に大丈夫かい?」
クリス「うん、ママさんに力の使い方も教えてもろたし、このクリスマンに任しとき!
お母さん…必ず助けようよ、な?」
ハンス「………」
ハンス君は僕の言葉に少し俯いた後。
「頼む」と静かに告げてぺこりと頭を下げた。
クリス「そんなん頭下げんといて。
すぐに帰ってくるよって、…それまでお母さんもどうか頑張ってぇな」
ハンス「クリス君、気をつけて」


※ ※ ※
…ハンス君に見送られ、渡された地図を頼りに僕はアンデンク村を目指した。
途中僕の行く手を阻む敵さんがよう出てきはったけど、リエーシアちゃんのママさんとパパさんが教えてくれはった『修行』のおかげで、何とか敵を倒すことに成功したわ。

…そしてそうこうしてようやくアンデンク村にたどり着き――
そのシュバルツ先生の研究所へと向かったんやけど……。

何人かの村の人たちに話を聞いてみたんやけど、先生の腕は確かでこの村の人たち殆どがその先生にお世話になってはるみたいで、先生めっちゃ大人気やんなぁって思った。
でも、何か性格にワケありみたいなんやけど…一体どないな先生なんやろか?

案外若ちゃん先生みたいな人やったりして。
あっ!
もしかして若ちゃん先生、ここで皆に隠れて内緒でお医者さんのアルバイトとかしてるんやろか?
…せや、若ちゃんがいつも白衣着ているのはそのせいなんやな。

うーん、早くそのシュバルツ先生に会ってみたいわぁ。

…そんな風に僕の胸は期待にどきわくしとっったんやけど…。

いざそのシュバルツ先生の研究所行ってみたら…。
その助手の人に聞いたらな、ナント先生留守やねんて(涙)。

ああ、どないしよう。
先生おらんかったら、ハンスのお母さんの病気治せへんし…。

うーん、やっぱりここは若ちゃん先生に来てもらって治してもらった方が早いんとちゃうかな?

とりあえず先生がドコ行きはったのか助手の人に聞いたら、どうやらこの村の北にある洞窟の私設研究所にいるそうなん。

ほならさっそく行かなな。
ちなみに村あるいとったら、村の人に「不思議な格好してるのね、あなたの村でもそういうカッコしてるの?」なんて突っこまれてん。
このヒラヒラマントが気に入ったんかな?
でも、ママさんとパパさんの話じゃ、このコスチュームでないとこの不思議な力は解放されず、敵と戦えへん言うててな。
…志波君は何故かげんなりしてたけど、僕はこのカッコ嫌いじゃないねん。

ま、それはさておいて。
北の洞窟へと急がなあかんな。
あ、そういえば何か忘れてるような気ぃすんねんけど、何やったかなぁ?
まあ…ええか。
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