Story of Girl's Side 2nd Kiss

□Destiny008.結成?補習トリオ・ザ・C.H.S.の巻。
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――その後、一人教室に残った若王子は、リエールからこっそり渡されたメモをポケットから取り出し、広げてみるが…。
若王子「……………」
……やはりコレはデートのお誘い、という意味なのだろうか。
だが…教え子の親が教師を誘うなど、こんなことは決してしていいものではないし、ましてやそんなところが旦那にでも見つかったらそれこそ気まずいはずなのに。

しかもあの彼女の、去り際の意味深な笑み――
それに何故かリエールは自分が元科学者であることを知っていた。
きっとデートとか、そんな甘優しいものではなく、何か別の意味があるに違いない。

若王子「…今度は僕の個人面談、というわけか。
わざわざ個別に僕を呼び出してまで一体何の話をするのか知らないけれど…とりあえず行くだけ行って、もし何かの取引の話なら丁重にお断りさせて頂くとしようかな」
彼女から渡されたメモを見つめながら、そう心に決めた若王子だったが――

若王子「…リエール=ハワード…」
…とても美しい女性だった。
本物を初めて、しかもこんなにも間近に見た瞬間から、今でもこの胸の鼓動が止まらない。

全知全能の、神秘の女神――

前にたまたま見た雑誌では確かそのように紹介されていて、こんなにもキレイな女性(ひと)がこの世にいるんなんて思いもしなかった。

雑誌で見た限りではもっと儚げな女性にも見えたけど、やはりそれは彼女の中の表情の一つに過ぎなくて、教師という立場である一方で、男として彼女の新たな表情を見てみたいという想いも生まれつつあって――

若王子「…ダメだ。
こんなことで浮かれてちゃいけないな。
…向こうはたぶんそんなつもりはないんだろうし。
…さて、僕も残りの仕事片付けて帰らないと」

彼もまたいそいそとプリントを片付けて教室をあとにする一方。


※ ※ ※
――夕闇色に染まる、学校の廊下では。

リエール「…これが今回の期末考査の結果ね。
まあ、流石氷上君ね。
学年1位なんて、流石守護戦士のリーダーを務めるだけあるわね。
氷上君とても博学だし、彼にリーダー任せて正解だったわ。
うんうん、瑛君も学年5位で結構イイ感じじゃない。
成績優秀、運動神経抜群でルックスもよし。
やっぱりロックの後継者は瑛君で決まりよね。
リエーシアも仮にもシルバーミレニアムのプリンセスなんだから、最低でも瑛君並ぶつもりで頑張らないと」
リエーシア「う、うん…そうだね」
…確かに母親の言う通りなのだが、かえってそのプレッシャーが重かったりもする。
だけど、自分の今の学力じゃ15位以内をキープするのでやっとのところだ。
学校が終わった後はセーラーナイトの活躍で忙しいし、吹奏楽部の練習もあって時間もかなり厳しい中でやっているのだから、この位で勘弁して欲しいというのがリエーシアの本音であるのだが、常になんに対してもトップを目指す思考のリエールは、娘の努力は認めてはいるもののやはりどうしても彼女の成績に不満を残せないでいるらしい。
リエール「…で、志波君と針谷君とクリス君はどこにいるのかしら」
リエールは上から下へと順に彼らの名前を追っていくが、下を見てど見てど、彼らの名前が見つからず――
ようやくかなり下の方で3人の名前を見つけたリエールは、彼らの点数を見た瞬間、ぴしりと凍りついたように固まった。
リエール「…………」
リエーシア「マ…ママ…?
…何だか雰囲気が怖いんだけど」
リエール「…何、この赤い数字だらけの点数は」
リエーシア「な…何って言われても」
リエール「…私の眼の錯覚?
それとも採点ミスのどっちなのかしら」
リエーシア「う…うーん…。
ママの見間違いではない、と、思う…」
本人ではないのに、リエールの空気があまりにも殺気だってるものだから、何故かリエーシアも戸惑ってしまう。

――するとそこへタイミング悪く音楽室の方向から暢気に口笛吹きながらハリーがやってきて、彼に気付いたリエールが苛烈な視線を送りつける。
リエール「あら、はーりーやーくーん?」
針谷「あっ、げ…げっ!
リ、リエール、さん…!!」
リエール「…あなた、この成績は一体どういうつもりなのかしら…?」
針谷「(うわっ、めちゃくちゃ怖えぇ…!)
つ、つーか人の成績勝手に見てるんじゃねぇよ!」
リエール「何言ってるの。
あなたたちはリエーシアを護る守護戦士であり、私はその直属の上司なのよ?
部下の成績を気にするのは当然じゃないの」
針谷「だ、だからって本人の許可なしに勝手に見るなっつーの!
っていうか、なんでリエールさんがここに…」
リエーシア「三者面談よ、ハリー」
針谷「あ、ああ、そうだったのか。
そ…それで俺に何か用かよ?」
リエール「…ええ、大いにね」
リエールがにっこりと笑う反面、そこには何故か異様な気迫が篭もっており、ハリーは思わず後ずさりする。
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