Story of Girl's Side 2nd Kiss

□Destiny008.結成?補習トリオ・ザ・C.H.S.の巻。
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リエール「…あなた、仮にも一守護戦士がこんなダメダメな成績でどうするつもり?
こんな調子じゃ、世界一のミュージシャンなんて夢も、夢のまた夢で終わりそうね」
針谷「…悪かったな、ダメダメな守護戦士でよ」
リエール「ええ、本当に。
こんなんじゃ、私もあなたの夢なんてとてもじゃないけど後押しする気にはなれないわ。
…私もこんな赤っ恥な成績の守護戦士を持ってとっても恥ずかしいし、30世紀の国民にも心底申し訳ない気持ちになるわ」
針谷「うっ…そ、それは…。
だからってそこまで言うかぁ…?
フツー……」
…確かに、未来の地球を護る守護戦士としても、未来のトップミュージシャンを目指している身分で、ハリーの成績は恥ずかしすぎるにもほどがある。

そんなことはわかってる。
わかっているけど――

好きでとった点数ではないにしても、故にリエールに何も言い返すことができないハリーは、言葉に窮したまま頬を仄かに赤く染める。
しかも憧れの女性にこんなみっともない姿を見られた日にゃ、ハリーも合わせる顔がないというものだし、それこそこんな成績をとってしまった自分を恨めしくさえ思ってしまう。

そんなハリーの内心を察したリエールはコツコツとヒールのかかとを鳴らしながら、ハリーに近づき顔をぐいっと寄せると――
甘い誘惑の瞳と声色で、動揺する彼に語りかける。
リエール「…ねえ、針谷君。
あなたのやる気を見せて、私をその気にさせてちょうだい。
…まさかこれがあなたの本気、というわけではないんでしょう?」
針谷「そ…それは…」
リエールの完璧に整った顔が間近に近づき、その爪でくいと顎を軽くあげられたハリーの心臓はもう色んな意味で今にも破裂しそうな勢いでばくばくだ。
リエーシア「マ、ママ!」
リエール「…だってあなたは世界にはばたく、誰しもが認める一流のトップミュージシャンになるのでしょう?
頂点を目指すなら、あらゆる面でトップを目指さなくちゃ。
ねえ…そうじゃなくて?」
リエールが赤いルージュを引いた唇をくっと釣り上げ、妖しくかつ色っぽく微笑む。
針谷「う……」
リエール「ふふ、そうでないとこれから先、私みたいなイイ女も捕まえることができないわよ?」
針谷「…それは余計なお世話だっつの!」
ぱしっとリエールの手を払い、高まる鼓動を抑えるべくハリーが数歩下がって深呼吸をし、呼吸を整える一方。
リエール「…………」
針谷「…で、何が言いたいんだよ」
彼女に挑発されて少し頭にきたらしいハリーは、珍しくリエールに向かって厳しい視線を送りつける。
リエール「…ふふ、このくらいで熱くなっちゃって。
あなたってホント可愛いのね」
しかしながらそんなハリーに対して、大人の女性の余裕を見せ付けるかのようにリエールはその魅惑的な笑みを絶やさない。
針谷「…いくらリエールさんでも、それ以上余計なコト言ったら本気で怒るぞ」
リエール「…そう。
なら、そんなに子ども扱いされて悔しいのなら、あなたの本気を私に見せてみなさい。
――プロのミュージシャンになるんでしょう、あなたは」
ついさっきまではハリーをからかうように妖しさに満ちた笑みを見せていたリエールだったが、それはすぐに真剣なまなざしへと変わってハリーのことをじっと見つめ。
そのあまりにもシリアスなリエールの瞳に、ハリーは刹那言葉を失う。
針谷「それは…」
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