Story of CCFF7

□Mission:007
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※ ※ ※
――バノーラ村・アンジール実家前。

ザックス「召還獣をこんなことに使うなよ!!
ソルジャーの誇りはどうした?!」
リエール「そうよ、ジェネシス!
あなたは私たちと同じ『人間』――
私たちと一緒に過ごしたこと――
その事実に偽りはないわ!
アンジールだって…!」
ザックス「おい…それってどういう意味なんだよ、リエール…?!
やっぱりあんた、何か知ってるんだろ?!」
リエール「…それは…」
彼女はザックスに問い詰められ、言葉を失う。

何から伝えればいい?
何を伝えれば信じてもらえる?
何が偽りで何が真実なのか?

彼女の心は混乱し――
そんな愛する人の思いを察してか、背を向けたままジェネシスは発する。

ジェネシス「――俺たちはモンスターだ」

そう静かに告げるジェネシスの背に広がり、空に舞い散るのは、漆黒の肩翼――

ザックス「…!!」

リエール「ジェネシス!!」

ジェネシス「…誇りも夢も失くしてしまった」
そうどこか後ろめたそうに――
哀しげに告げるジェネシスに、リエールは駆け寄り、言い放つ。
リエール「違うわ、ジェネシス!」
ジェネシス「…何が違う?
人間に翼が生えたら、それはモンスターだ」
リエール「…いいえ」
彼女はジェネシスの片翼に触れると、哀しさを称えた瞳でジェネシスのことを見つめたまま、複雑な面持ちで自らの思いを語る。
リエール「翼は自由になりたいと願った人間の憧れ。
そしてその翼で世界中を飛んで、多くの人たちを助けることもできる。
決してモンスターの証じゃないわ」

ジェネシス「…………」

――二人はしばらく間、何も言わずに見つめ合う。

ザックス「あの…もしもーし…?」

リエールがソルジャーとしてこの神羅カンパニーに入社後――
彼女にLOVELESSの知識を教え、彼女もまたその叙情詩の魅力に取り付かれ、以来ジェネシスと共に欠落したLOVELESS最終章の研究にも力を注いできたし、ジェネシス自身団体行動は極力好まない性質ではあったが、いつしか4人で行動するのが当たり前にさえなっていた。

そして任務やLOVELESS研究を通じていくうち、ジェネシスは徐々にリエールの明るく行動的な性格・その研ぎ澄まされた強さ・何より年齢にそぐわぬ美貌に惹かれ――

しかし、その想いが叶うことはなく。
リエールの心の全ては今――
セフィロスが支配している。

こうしてリエールが目の前にいるのに、自らの心・魂が、彼女と重なることはない――

ジェネシス「…リエール、覚えているか?」
リエール「え?」
ジェネシス「この前の大使館での秘宝回収任務、晩餐会の夜――
あの時交わした『約束』だ」

リエール「……!」
彼女の表情が凍りつく。

ジェネシスの望み――
リエールのことを手に入れることができないのならば…万が一のことがあったときは彼女の手で殺して欲しい、という残酷な願い――

ザックス「リエール――」
ザックスが見守る隣では、リエールは無言のまま、ぐっと愛剣のドラグーンセイバーの柄を握り締める。

ジェネシス「お前が俺をまだ信じているというのなら――
俺は待ち続けよう。
『約束』が果たされる、その時まで――」

ジェネシスは俯くリエールの前まで近づくと、その漆黒の翼で覆い隠すようにして彼女を抱きしめ――
俯いたままの彼女の唇に、自らの唇を深く愛おしく重ねた。

ザックス「いぃっ…?!
マ…マジかよ…!
つーか、俺はどうすれば…」

突然の二人のキスを前に、どうすることもできないザックスが酷く困惑する中。

それからジェネシスとリエールの唇が交わって、もうどれくらいの時が過ぎたのか――

リエールとの口付けを満足したらしいジェネシスがゆっくりと顔を上げると、そこには何故か透明な涙を浮かべるリエールの顔――

ジェネシス「ふ…泣いているのか?」
そして、リエールがゆっくりと顔を上げる。
その手に、亡き父より譲り受けられし形見のドラグーン・セイバーを携えて。

リエール「…これは私の父が亡くなる前――
王国が滅亡する前に託してくれた、唯一の『誇り』――
この振り上げた『剣』は、切り裂くためのものじゃない。
だからジェネシス…あなたとの『約束』は護れない」

ジェネシス「…………」

リエール「もう…私は何も失いたくない。
誰も見捨てたりはしない。
その代わり…必ず見つけて見せるわ。
あなたを…アンジールを救う、『女神の贈り物』を――」
彼女の決意を称えるかのように、太陽の光を反射して、柄に聖竜を象った水晶の刀剣がきらきらと光を放ち閃く中。

リエール「…なんてね。
私…待ってるから。
ジェネシスもアンジールも帰ってきて、またいつものように皆でトレーニングルームで遊べる日を…!」
彼女は魔晄を照射された青い瞳にうっすらと涙を滲ませたまま、穏やかな笑顔を見せる。
その笑顔はまさに女神そのもので――
ジェネシスの心には微かなさざなみが立ち、その想いの狭間で揺れる。

ジェネシス「ふ…ならば救ってみるがいい」

それでも彼女の心がやはり自分にに向かないことを察してか――

ジェネシスは漆黒の片翼をばさりと広げると、あの果てしなき空の彼方へと、瞬時に飛び去ったのだっだ。

その永遠の青空より音もなく雪のように振りつもるのは、ジェネシスの残した黒き羽――……。

リエール「…相変わらず、素直じゃないんだから」

ザックス「リエール……」

どこまでも無限に青く澄み渡った空を見上げ、舞い散る一枚の漆黒の羽を手に、そしてザックスはつぶやく。

ザックス「…そうだ。
ソルジャーはモンスターじゃない――」


※ ※ ※
――その後。
無限の青空を裂いてほどなくして神羅製の爆弾が次々に投下され――
村は爆発と共に瞬く間に炎の海に包まれた。

燃え盛るバノーラホワイトの木を見つめ、ザックスは在りし日の友を思う。

――アンジール――


Mission:007.-END-
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