Story of CCFF7

□Mission:010
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※ ※ ※
声『何があったんだい?』
ザックス「…母ちゃん?」
暗闇の中。
白い羽根が舞い散る中で、彼は声に語りかける。
ザックス「俺、友達を助けてやりたいんだよ。
でも…どうしたらいいのかわからないんだ」

声『もしも〜し!』

ザックス「母ちゃん…?」

一枚の白い羽根が、彼の前に静かに舞い落ちた後。
突如開けた世界にいたのは、一人の若い女性。
女性「もしも〜し!」
ザックスが気がついたことを確認し、女性はうれしそうに一人呟く。
女性「やった!」
ザックス「…天国?」
今もさめざめとしない意識の中、彼は天井を見上げ倒れたまま一人そうごちる。
女性「残念。
スラムの教会」
そんな彼の目の前には、一人の可憐な女性が彼のことを興味心身に見つめている。
ザックス「…天使?」
起き上がって尋ねる彼に対し、女性は首を左右に振り、こう答えた。
エアリス「私、エアリス」
そしてエアリスと名乗った女性は、ザックスに背を向けると、落ちてきた天井を指差して語った。
エアリス「君、降って来たの。
びっくり」
おどけたように笑うエアリス。
ザックス「あんたが助けてくれたんだ」
エアリス「別に〜。
もしも〜しって、言ってただけ」
エアリスの冗談に、ザックスは気さくに笑った後。
彼は起き上がる。
ザックス「本当にありがとう、エアリス。
俺、ザックス。
何か、お礼しなくちゃな」
エアリス「いいよ、いいよ」
ザックス「そうはいかない」
言って彼は数歩歩き、なにやら考えると。
ザックス「なあっ、デート1回ってのは?」
エアリス「何それ?
ばっかみたい」
会った早々エアリスに振られ(?)うな垂れるザックスではあったが、さてこれからどうするべきかと、彼が花が咲く方へ歩き出したとき。
エアリス「ストップ!
お花、踏まない!」
ザックス「な、なんだ?」
エアリスからの突然の物言いに少し戸惑い、思わずその足を引っ込めるザックスだったが。
エアリス「花、あったら気をつけるでしょ、普通」
ザックス「…悪いな、普通じゃないんだ」
ザックスは答える。
彼は既に『普通』ではない、以上と言うべき事件に巻き込まれている。
そして彼はふと、足元の花を見つめ思ったことをそのまま口にする。
ザックス「花なんて珍しいな。
ミッドガルじゃ高級品だぜ」
ザックスの言葉に、エアリスはうれしそうに語る。
エアリス「ここだけ咲くの。
うちの周りに植えたのも元気に育ってる」
ザックス「俺なら売って金にするね。
ミッドガルは花でいっぱい、財布はお金でいっぱい!」
エアリス「ミッドガル…お花でいっぱい――
財布、お金でいっぱい――
…考えたこと、なかった」

――そう、この巡り合いは大きな意味を持っている。
恋と呼ぶにはまだ幼い、友情に似た惹かれあう想い。
それは、この先に待ち受ける悲劇から、星を救う戦いへと繋がる大きな出逢い。

それから後――エアリスはふと空が怖い、とザックスに語る。
見上げるとまるで吸い込まれてしまいそうなのだ、と。
だから彼女はその空を覆い尽くすプレートの下の貧しいスラム街の生活を厭わない。
「普通じゃない、変だよね」と寂しげに笑う彼女であったが、ザックスは「普通なんてつまらない」と答え、彼女がふいに見せた明るさの影の孤独感――
そんな彼女を元気付けてやりたいと強く願うようになった。

そしてザックスはエアリスに怖くない、綺麗な空を見せてやる、と約束し――
ミッドガルを彼女の育てた沢山の花で埋め尽くし、それを一緒に売ろうと彼女と誓った彼は程なくして都市上層部へと戻ることとなった。
セフィロスから連絡が入り、神羅本社ビルがジェネシスによって襲撃されたのだという。

つかの間の休息に別れを告げ、ソルジャーとしての使命と、友の求める願いを果たすために――……。
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