Story of CCFF7

□Mission:011
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宝条「ずいぶんと暇そうにしているな」
ザックス「いや、暇ってワケじゃないけど…」
宝条「私に来客があるんじゃなかったのか?
この偉大な頭脳を、命をかけて護衛する準備はできているのかね?」
ザックス「もちろん、任せてくれ!
いらっしゃいませってなもんだ!
新世代のソルジャークラス1stの実力を見せてやる!」
腰に両手をあて、胸を張って自信満面に答えるザックス。
リエール「ま、ザックス君がやる気になっているのならそれで結構よ。
その方が私も楽できるし」
ザックス「おいおい、任務途中放棄って、仮にもレディ・セフィロスがそんなんでいいのかよ?」
リエール「特別手当でも出してもらわなきゃ、こんな仕事二度とやらないわ」
ザックス「うわっ、結構な女王様だな、お前。
流石はレディ・セフィロス…お高いところはそっくりだな」
リエール「何か言った?」
ザックス「い、いや別にっ(汗)」
そう二人がやりとりする後ろでは、宝条がなにやらコンピューターをいじりながらほくそ笑む。
宝条「そこまで自信があるというのならそれは頼もしいものだ。
二流科学者の失敗作になど、負けないでくれたまえよ。
…おや?」

すると、天井より突如舞い散るは数多の漆黒の羽根――

宝条「噂をすれば、だ」

リエール「ジェネシス!!」
ザックス「!!」

二人が見つめる中、ジェネシスは宝条の背後へとゆっくり降り立ち、血の様に紅いレイピアの切っ先を宝条の首へと突きつける。
宝条「ホランダーの命令か?
ホランダーに従えば、劣化が治るとでも思っているのか?
哀れ、実に哀れだな」
しかしながらその声色に、一切の同情と言う感情は含まれてはいない。
ジェネシス「く…!」
ザックス「ジェネシス!!」
さらにはザックスがジェネシスの首にロングソードの銀の切っ先を突きつけ――
リエールが叫ぶ。
リエール「ザックス、剣をおろして!
私たちの任務は宝条博士の安全確保よ、ジェネシスと戦うことが目的じゃないわ」
ザックス「リエール、この期に及んでまだジェネシスをかばうのかよ!」
リエール「…そ、それは……」
ジェネシスの苦悩をまた知っているだけに、彼女は言葉に窮してしまう。
一方で、こんな切迫した状況にもかかわらず、宝条は高笑いを響かせて無情に言葉をつむぐ。
いや、それどころかむしろこの状況を楽しむかさえするかのように。
宝条「二流科学者に劣化を治せるわけがない」
――そこへ、外のGコピーたちをあらかた始末したと見える、アンジールが現れて。
アンジール「もうやめろ、ジェネシス!」
リエール「そうよ、ジェネシス!
こんなことをしたってあなたが得られるものなんて何もないわ!
それなのに…どうして繰り返すの…?!」
ジェネシス「…………」
宝条「ほう、これは珍しい」

ジェネシス「『君よ 因果なり
夢も誇りもすでに失い――
女神引く弓より
すでに矢は放たれて――』」

宝条「ホランダーのモンスターが勢ぞろいだ」

ザックス「黙れよ!!」
リエール「…だから嫌だったのよ、この仕事。
博士、これ以上私を怒らせない方が身のためよ。
ソルジャーの強さは博士が重々ご存知のはずでしょう?」
リエールはドラグーン・セイバーの切っ先を宝条博士へと突きつける。

白き片翼を背に負うアンジールと黒き片翼を身に携えるジェネシスが、己の剣を片手に互いに対峙し合う中。
宝条が高らかに言い放つ。
宝条「『LOVELESS』第4章――
親友同士が決闘を申し込むシーンだ」
アンジール「…!」
宝条「古来より伝わる叙情詩、研究の役に立つかと読んでは見たが、実にくだらん」
アンジール「…決闘の結末は?」
宝条「不明。
最終章は欠落し、いまだに発見されていない」
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