Story of CCFF7

□Mission:012
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――その後二人が更なる捜索を続け、大浴場の2階へ上がると、そこにはAコピーによって傷を負ったらしきクラウドとツォンがぞれぞれ倒れているではないか。
ザックス「――おい!」
リエール「クラウド、ツォン!
大丈夫?!」
クラウド「う…」
彼は何とか力を振り絞って立ち上がろうとするが、傷は深いようでクラウドはその場に座り込んでしまう。
リエール「クラウド、しっかり!
私もさっきのジェネシスとの戦いでMPあまり残ってないんだけど、今治癒呪文かけてあげるわ」
リエールの手のひらから生まれた白い光が、優しくクラウドを包み込み――傷が少しずつ塞がっていく。
クラウド「…ありがとう、リエールさん…。
ザックス、大丈夫だから…」
リエール「言ったでしょ、困ったら何でも相談しなさいって。
ほら、これでしばらく休んでいれば動けるようになるわ」
クラウド「ああ…」
続いてリエールはザックスとともに、次の通路へと続く入口の壁にもたれかかっている手負いのツォンの傍へと駆け寄り。
ザックス「ツォン!」
ツォン「こ、この先だ…!
ホランダーを確保してくれ…!
アンジールも…お前たちを待っている…」
リエール「アンジールが…?!」
ツォン「我々のことは気にせず、ホランダー確保に専念してくれ…」
リエール「何言ってるのよ、そんなわけにいかないでしょ。
他のタークスメンバーも心配するし、ちょっとこのままじっとしてて」
クラウドに施したのと同様に、彼女はツォンにも白魔法をかけていく。
ツォン「…すまない。
かえって足手まといになってしまったようだな」
ザックス「いいってことよ、気にすんなって」
リエール「…さあ、ザックス。
二人ならこれで大丈夫だわ。
先へ急ぎましょう」
ザックス「ああっ!」


※ ※ ※
そして。
廃屋の最奥にあるホールにて、ついに二人は今まで求め続けてきた人物と対面する。
これがアンジールとの最後の戦いになることなど、今はまだ知る由もないまま……。

リエール「アンジール!」
ザックスとリエールの二人がたどり着いたとき、そこにはバスターソードを手にした白き片翼のアンジールが二人の登場をずっと待ち構えており。
二人は様々な思いを胸に、アンジールの元へと近づく。

アンジール「――ジェネシスとは、本当なら俺が戦うべきだった」
ザックス「ったく、誰が仕向けたんだよ」
このモデオヘイムでのホランダー確保の任務から始まり、先刻の魔晄採掘施設でのジェネシスの戦いを思い起こすザックスは不満げに毒を吐く。
アンジール「――だが、次はお前たち自身の仕事だ」
アンジールはある決意を宿した厳しい表情とともに、そのバスターソードの切っ先を彼らへと向ける。
リエール「アンジール?!」
ザックス「どういうつもりだ!」
その瞬間、二人にめがけて振り下ろされるアンジールのバスターソード――
リエール「ちょ、ちょっとアンジール!」
ザックス「よせよ!」
戸惑う二人に対し、アンジールはなおも闘志をむき出しにしたまま言い放つ。
アンジール「待っている人がいるんだろう?」
その言葉に、ザックスはエアリスを思い出す。
彼女に会いたいのなら――
自分を倒して行け、と、そう言うのか。
ザックス「アンジール…本気かよ…?!」
彼はゆっくりと背にかけたロングソードの柄を掴み、剣を握り締め――!
アンジール「はっ!!」
ザックス「くっ…!」
違う思いを抱く二人の刃が、甲高い金属音とともに幾度となく火花を散らしてぶつかり合い。
リエール「ちょっと二人とも!!」

――二人の白刃がさらなる交差を重ねたとき、そこにさらに現れたのは。

ホランダー「いいぞ、アンジール。
我々親子の恨みを今こそ晴らすのだ!」

ザックス「親子?!」
リエール「アンジールと、ホランダーが…?!」

アンジール「黙れ!!
俺の父は死んだ!!」

ホランダー「ならば母の恨みを晴らせ」
アンジール「母は過去を恥じ、自ら命を絶った!」

ザックス&リエール「!!」
二人は思い出す。
バノーラ村の、アンジールの家で起きた婦人の最期の姿を。

ホランダー「恥…か。
それは間違いだ。
彼女は誇りに思うべきだった。
自分の名が実験コードネームに遺されたことをな」

リエール「――それはプロジェクト・G。
すなわちプロジェクト・ジリアン――
そうよね?
ホランダー博士」

ザックス「リエール…?!」

アンジール「…!!」
その瞬間、彼の思考は凍りつく。

ホランダー「…ほう、レディ・セフィロスが知っていたとはな。
ジェノバ細胞を埋め込んだ女、ジリアン――」
アンジール「――母の名を口にするな!」
自分の全てを狂わせた男を前に、その認めたくない現実に、アンジールはホランダーに食ってかかり、その胸倉を掴んで凄む傍ら。
彼はリエールに疑惑の眼差しを向ける。
アンジール「なぜお前がその名を知っている…?!」
リエール「…バノーラ村でジェネシスに会った後――
さらにジェネシス軍によって第一の本社襲撃事件が起きた後に色々と調べたの。
あなたたちの劣化を治す方法探していたとき…その名前を知ったわ。
実験の詳細も、その全てを」
アンジール「リエール…!!
ならば…なぜ、教えてくれなかった…!!」
リエール「伝えようとしたわ、何度も…!!
でも、あなたはいつも一方的に言いたいことを言って、逃げるように飛び去ってしまう!
だから…伝えることができなかった」
アンジール「リエール…」
自分だけではない、いつしか彼女さえもここまで巻き込み、苦しめていたなんて――
アンジールが刹那言葉を失う中。
ホランダーが口を裂き、その真実を語る。
ホランダー「――ジリアンの因子を胎児期に移植されたのがジェネシス。
ああ、ジェネシスは失敗だった、認めよう。
だが…アンジール。
お前はジリアンの体内で細胞分裂を繰り返した。
お前は…完璧だ」
アンジール「くっ…!!」
ホランダーの満足げな言葉に、アンジールは何もかも諦めたように彼を突き飛ばすと、自らの虚無のうちをザックスたちに語る。

アンジール「ザックス、リエール。
俺は完璧な――」
リエール「違うわ、アンジール!!」
アンジール「ならば何が違う?!
俺の細胞は他者を取り込み、それを分け与えることができる」
ホランダー「双方向コピー――
ジェノバの力を正しく継承したというわけだ」
リエール「天より舞い降りし災厄、ジェノバ――」
ホランダー「ああ、そうだ」
アンジール「く…!」
アンジールは黙り込む。
ならば自身はジェノバと変わらぬ存在であると言うこと――
もうこれ以上、ここまできた以上は自身にはもう何も残ってはいないと言うこと――その覆しようのない現実を前にして。
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