Story of CCFF7

□Mission:012
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アンジール「ザックス…覚えているか?
世を苦しめるもの全てと戦うと、約束したよな?」
ザックス「うん…でもあんたは違う」
アンジール「俺自身が…俺を苦しめる」
リエール「アンジール……」

アンジール「ザックス、リエール。
見せてやろう」

ホランダー「やめろ!
取り返しのつかないことになるぞ!」

リエール「そうよ!!
私…私これ以上大切なもの、失いたくない!!
やめて、アンジール!!」
駆り立てられる大きな不安にその背を押されるかのようにして彼女はアンジールに向かってドラグーン・セイバーを振るうも、それは弾かれてしまい――
ザックス「リエール!!」
リエール「う…」
アンジールは片手を高く掲げ、自らのコピーたちを呼び寄せる。
リエール「コピーが…!」
新たに現れた、一つ目に蝙蝠のような羽根が生えたモンスター、ハウンドドッグにグリフォン、半漁人の計4匹が二人の背後に立ちはだかり――!
ホランダー「くそ!
細胞だけでも!!」
事の状況に憔悴したホランダーはアンジールから細胞強奪を試みるも、あっさり突き飛ばされてあえなく失敗。

そして――
ついにコピーたちは動き出す。

ザックスはそのコピーを迎え撃つべく剣を構えるも、コピーたちは彼らの間を横切ってアンジールの元へとまっすぐに向かっていく。

ザックス「アンジール!!」

リエール「やめて、アンジールッッッ!!!!」

アンジールを求める二人の叫びが虚しくホールに響き渡る中。
コピーたちに完全に囲まれ、それを取り込もうとするアンジールの苦鳴とともに光の柱が立ち上り、周囲をまぶしく照らし出す。

――やがてその白色の閃光が部屋全体を覆い、彼らを飲み込んだ後。
冴え渡った彼らの視界に写りこんだもの。

それは…人であることを捨て、完全なモンスターとしての道を選んだ、アンジールの変わり果てた姿だった――

リエール「アン…ジール…」
彼女はついに開かれてしまった絶望の扉に、愕然と言葉をなくす。

だが、動揺する間もなくモンスターと化したアンジールの刃はザックスの頬とリエールの腕を掠め、彼らの皮膚に一筋の赤い線を刻む。

ザックス「アンジール…誇りはどうした?!」

半壊した屋根から覗き込む穏やかな夕陽が、その行く末を見守るように照らし出す廃屋で。
アンジールとの最期の戦いは、ついにザックスとリエールの剣によって幕を切って落とされたのだった。

ザックス「リエール、お前はホランダーを追ってくれ!
ここは俺が引き受ける!」
リエール「で、でも…」
ザックス「いいから早く!!」
リエール「わ、わかったわ」
彼女はザックスに急かされ、ホランダー確保に向けてホールを後にする。
彼女にばかり頼ってもいられないし、今回ばかりはあまりにも残酷すぎる現実であり。
神様が本当にいるとするならば、なぜこんな運命を自分たちに架したのか――
そう何度問うたところで、今、この場にその答えを示してくれるものなどどこにもなくて。

ここは今度こそ自分の手で決着をつけなければ――

ザックスは決意を固め、ロングソードを手に完全な敵と化してしまったかつての友と対峙し――

彼は吼える。
自らもまた、闘いの中に身をおく一匹の狼となって。

ザックス「おおおおお!!!!」
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