Story of CCFF7

□Mission:012
7ページ/10ページ

※ ※ ※
――そして、その後のザックスの激闘は幾度も続き。
別室にてリエールがホランダーを確保し、二度と逃げられないように術を施して、ホールに戻ってくると。

リエール「ザックス!!」
そこにはかなりの手負いの様で一人きり懸命にかつての友と戦う彼の姿があり、アンジールペナンスの斬撃によって倒れこんだザックスの下へ、彼女がすぐさま駆けつける。
リエール「ザックス、しっかりして!!」
ザックス「ぐ…くそ…!
あの硬い皮膚のせいで思ったよりもダメージを与えられねぇ…!
どうして…こんなことになっちまったんだよ…!」
リエール「ザックス――」
いくらザックスとは言えど、このままでは彼が倒されるのも時間の問題――
…やるしかない。
あの技を、もう一度――

その瞬間。
アンジールのペナンスの刃が、ザックスを庇うリエールの右肩を貫いた。

リエール「うあっ…!!!!」

ザックス「リエール!!」

彼女の苦鳴とともに、一気に吹き出す血の奔流。
ザックス「リエール…!!」
リエール「だ、大丈夫よ…!
あなたのことは絶対に死なせはしない――」
これ以上、かけがえのない人を失ってなるものか。
奪わせはしない。
リエールはザックスを抱きしめる。
この手から離すまいとするかのように――

ザックス「リエール――」

だが、そこへ更なる追撃の牙が彼女たちへと襲いかかり、リエールは振り向きざまかろうじてその凶刃を剣で受け止める。
リエール「ぐ…!!」
彼女は奥歯をかみ締めて渾身の力で受け止め続けるが、アンジールそのものの強さに加え、モンスターと化した能力もさることながらその差は圧倒的であり、彼女は大きく後方へと吹き飛ばされ、体制を崩す。
ザックス「リエール!」
リエール「く…!
まったく…本当に手間暇かけさせるんだから…!」
今もなお右肩から流れ続ける血奔流と激痛に顔を歪めながらも、彼女はざくり、と剣を床に突き刺すと。
リエール「ザックス…ここでかたをつけるわよ」
ザックス「ま、まさかお前、またあの技を使う気かよ?!」
リエール「このままじゃ二人揃って共倒れよ。
限界突破でやるしかないわ」
ザックス「けど、そんなことしたらお前の体が…!!」
確かにザックスの言うとおり、先刻でジェネシスに放った光の竜の矢は亡き父より受け継がれし禁断の技であり、同時に大幅に体力を消耗する諸刃の刃のため、本来ならば1日に1回しか放てない。

それでも。
戦わなければ終われない。
誰かが終わらせなければならないのだ。

目の前の友を…仲間を救う術が、これしかないのなら――

リエール「…ザックス。
あともう一分張りできるかしら?」
ザックス「リエール――」
リエール「…私があいつの鎧を吹き飛ばす。
そうしたら今度はあなたの番よ」
彼女は血に濡れ、苦痛に蝕まれる体で痛みを堪えながらそう告げる。
リエール「覚悟はできてるわね」
彼女は問う。
頬に伝う一筋の涙とともに――

…それが何を意味しているのか――
それはザックスも痛いほどにわかっていた。

ザックス「…ああ」

そしてリエールは激しい痛みの中、静かに呪文を紡ぎはじめる。

この戦いの、最期の幕引きとなる――終焉をもたらす聖なる言葉を。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ