Story of DISSIDIA FF

□Shade Destiny:001
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オニオン「それじゃティナ、僕たちも本屋をめぐったりしていろいろ情報を集めてみようか」
ティナ「そうだね。
皆で探しに行けば、きっと手がかりが見つかるかも」
ティーダの行動に触発された彼らも次々と席を立ち上がり、出かけていく。
WoL「…ティーダの行動の早さには感心するが、あいつが寝てしまうとも限らんからな。
私もティーダに同行しよう」
スコール「…俺は独自で調査をしてみる」
ジタン「相変わらずスコールは一匹狼だねぇ。
ま、スコールらしいけどな」
クラウド「…俺も仕事に空き時間できたときにヴィンセントたちにも聞いてみる」
クラウドもストライフ・デリバリーサービスの準備をしつつ、そうぽつりとつぶやく。
ジタン「ああ、わかった。
なあ、バッツはどうする…ってバッツ?」
ジタンが視線を向けるその目の前では、バッツがじっとティファの開店準備をフリオニールと一緒に手伝うリエールのことを見つめている。

ジタン「バッツ……」

――ジタンは知っている。
バッツがリエールに今も片想いをしているということ。
バッツ自身も、彼女がフリオニールと現在付き合っていることは知っているが、それでもこの溢れ出る想いを止めることはできず、複雑な眼差しで彼女のことを見つめている。

そう、元の世界に帰るということは同時に彼女との別れも意味するのだ。
フリオニールは彼女のためにこの世界に残ることを決めているようだけど――
バッツは正直迷っていた。
ならば自分もいっそここに残ってしまおうか。
もう既に故郷も親もいない天涯孤独の身だ。
あてのない旅ならいつものことだし、慣れている。

…たとえ彼女の心が自分の心と重なることはなくても、彼女のそばにいられるだけで…その笑顔を見られるだけで本望だから――

バッツ「(…リエール…)」

リエール「あら、バッツ。
どうしたの?
さっきからずっと立ち尽くしちゃって。
私の顔に何かついてる?」
バッツ「あっ、いや、別に…!
お、オレも何か手伝えることないかなーって…」
急にリエールが不思議そうに彼の顔を覗き込んできたことで、バッツの鼓動もそれに思わず飛び跳ねる。
リエール「そしたらこれ、買出しにいってきてもらっていいかしら?」
そんなバッツに渡されたのは数枚のメモ。
リエール「昨日仕入れの中に入れるのわすれちゃって…。
クラウドに任せるとあいつ野菜オンチだからいつも違うの買ってきちゃうし。
ごめんなさいね」
バッツ「そ、そんなリエールが謝ることないって。
リエールの役にたてるのならオレ…本望だし…」
今まさにリエールのことばかりを考えていただけに、バッツが少し照れくさそうに後半の言葉を濁す中。
リエール「ん?
何か言った?」
バッツ「じゃ、じゃあ行ってきまーす!」
リエール「ああっ、バッツってば!
そうだわ、ジタンもバッツに一緒についていってもらってもいいかしら。
何か様子がヘンだし、ちょっと心配だから」
ジタン「麗しきレディの頼みなら何なりと」
リエールの手をとり、ジタンがかしこまってその手に軽く口付ける傍ら。
それを見たフリオニールが当然のごとく噛み付いてくる。
フリオニール「ああっ、こら、ジタン!
勝手に人の恋人に…!」
ジタン「へっへー!
油断してると、リエールはオレが攫っちゃうからなー!
フリオニール!」
そう調子よく言ってジタンは持ち前の素早さで店を後にし、バッツの後を追いかける。
女好きで盗賊でもあるジタンは、こんな風にしてフリオニールをからかうのはしょっちゅうだ。
もちろん、ジタンにはジタンの想い人がいるし、本気でいってるわけじゃないのはフリオニールもわかってはいるが…フリオニールにとってリエールは生まれて初めてできた恋人でもあるだけに、フリオニールが些細なことでもヤキモチを妬かずにいられないのは無理ないことなのかもしれない。
フリオニール「全く…ジタンは女にはホントだらしないな」
その隣で、リエールがぶっ、とためていたものを吹き出し、お腹を抱えて懸命に笑いをこらえている。
フリオニール「な、何でそこでリエールが笑うんだよ!」
も、もしやニセヒルダ王女との例の『あのコト』を彼女が知っているんじゃ――
フリオニールが心と体で両方嫌な冷や汗をかく中、彼は恐る恐る彼女にといかける。
フリオニール「な、なあ…リエール。
オレ、何か妙なことでも言ったか…?」
リエール「う、ううん、別に。
フリオってば本当にヤキモチやきなんだなって思っただけ」
リエールはフリオニールの肩に腕を回し、彼の体にそっとその身を寄り添ってそう告げる。

…どうやら例の『あのコト』は知らないようだ――

万が一知られたりしたら男としても末代までの赤っ恥になるし、現に本編ではヒルダ王女の目の前で大いなるその赤っ恥を既にかいてしまっている。
フリオニールがそう内心で安堵する一方で、彼もまたリエールをそっと抱き締め、困惑したような眼差しで口を開く。
フリオニール「…好きなんだからヤキモチ妬くのは当然なんじゃないか?」
リエール「ふふ、そうね。
私も反対の立場だったら同じことしてたと思うし、そんなフリオの気持ち、凄くうれしい」
フリオニール「リエール……」
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