Story of DISSIDIA FF

□Shade Destiny:001
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※ ※ ※
――竜神の森。
PM12:30。

リエール「懐かしいな…この森。
もうあれから10年くらいになるのかな…」

温かい木漏れ日が降り注ぎ、小鳥たちがさえずり、木々が風にかすかに揺れてさざめく森の中を、彼女は一人ゆっくりと歩く。

森林浴というのも、あながち嘘ではない。

――彼女がこの森を通じ、王国『ドラゴンズ・キャニオン』からこの世界に降り立ったのは13歳のとき。
聖竜騎士族の王位正統後継者として生まれた彼女は、聖竜騎士族の長である父・キング=アーサー王と白魔導士の屈指であった母アリシアからの厳しい修行と魔法の勉強を日々こなし、王女でありながら騎士としても育てられてきた。

そんな彼女が13歳になり、騎士としての洗礼式が間近に迫ったある日。
叔父に当たる黒竜騎士族の王らによって領土争いにおける戦争を突如仕掛けられ、それによって激しい戦いの末、双方の一族は滅びの末路をたどった。

父アーサーは全ての希望を娘のリエールに託し、母もまた女王として多くの仲間を救うためにその力を奮い、彼女を逃がすその代償としてその命を闇の底へと沈めてしまった。

それからの後。
リエールはこの森を通じて命からがらに難を逃れ、やがてミッドガルを中心都市としたこの世界へとたどり着き――
あてもなく世界を放浪した末に、彼女はあのセフィロスと運命の出逢いを果たすことなり、セフィロスらの導きで彼女は13歳という史上最年少で神羅カンパニーの『ソルジャークラス1st』として新たな運命を歩むことになる。

その実力と類まれなる美貌を駆使し、やがてはセフィロスの片腕として『レディ・セフィロス』とまで呼ばれるまでの存在になるが、その傍らで彼女には厳しい運命も待ち受けていた。

ジェネシスの裏切り、アンジールの死、最愛のセフィロスの豹変、友人ザックスの凄惨な最期――

その積み重なった悲劇は彼女自身さえも追い詰め壊してしまい、故郷も親も仲間も全てを失った彼女はそれでもセフィロスを信じるしかなく、セフィロスへの想いだけを胸に彼の右腕として戦い、クラウドたちとは幾度となく対立し、その刃を憎悪の心のままに奮った。

最終的には北の大空洞における最後の対セフィロスの戦いの中でクラウドたちと和解し、セフィロスを倒して星に平和を取り戻したけれど、一方で彼女の心に空いた空洞は決して埋まることはないまま時は過ぎ――

調和の神コスモスに召喚され、今のティーダら新たな仲間たちとカオスを倒す戦いに参じ、そこで再び出逢ったセフィロスとは紆余曲折の末についに決別を果たしてクリスタルを手にすることも出来、カオスも倒し世界を平和へと導くことも出来た。

そんな様々な出来事もあり、また、悲しい想い出も沢山あったからこそこの森に近づくことは今まで一度もなかったのだが、その一方でリエールにはここに求めるものがあった。
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