Story of CCFF7

□Mission:004
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※ ※ ※
セフィロスとアンジールのいるダンスホールから少し離れた、ソファーの置かれた無人の広間にて。

ジェネシスは抱きかかえたリエールをそのソファーに寝かせると。
ジェネシス「…大丈夫か」
リエール「ん…らいじょーぶじゃない…かも…」
ジェネシス「待っていろ、水を持ってくる」
リエール「ん…」
――そしてジェネシスから水の入ったグラスを受け取ると、流し込むように一気に飲み干すリエール。
リエール「あ〜…死ぬかと思ったぁ…」
ジェネシス「少しは楽になったか」
リエール「うん…ありがとう。
でも…なんだか少し眠い、かも…」
ジェネシス「おい…!
…少し話したいことがあるんだ。
寝るにはまだ早い時間帯だと思うんだが」
リエール「あ…さっきの翼の…」
ジェネシス「ああ、そうだ。
…お前だけには…先に話しておこうと思う」
リエール「…ジェネシス?」

――それは、これから彼らの運命を大きく狂わせることとなる、ジェネシスからの思いもよらない告白だった。

リエール「そ…そんな…!」
ジェネシス「…だが、それは今宝条が行っているジェノバ・プロジェクトの一環に過ぎない。
この問題を解決するには、『女神の贈り物』を探し出すしか方法がない」

ジェノバ・プロジェクト――

その聞きなれない言葉に、リエールは怪訝な色をその瞳に称えながら、彼女はジェネシスに問いかける。
リエール「それで…私たちから離れるというの?
…でも、だからって私たちのこの関係は変わらないわ。
それはセフィロスだって、アンジールだって同じように思うはずだわ」
ジェネシス「…本当にそうかな?
このまま堕ちて行く俺を見ても、お前は俺を真の『友』として…『人間』として見てくれるのか?」
ジェネシスは片翼の黒い翼をばさりと広げ、真っ直ぐにリエールを見据える。
リエール「そんなの当たり前じゃない!
だって、ジェネシスは私にとって初めてできた本当の友達で、信頼できる本当の仲間だもの!
私…ジェネシスがそんなことになるなんて、信じない。
…もうこれ以上、大切なものを…失いたくないの」
ジェネシス「…そうか。
その言葉を聞いて、安心した。
俺はお前にまだ諦められたわけではないということを――…」
ジェネシスは知っている。
彼女が唯1人、戦乱の渦に飲み込まれていく王国から逃れ、両親をはじめとする一族を失ったということを。
ジェネシス「だが…その『時』が訪れたら、俺は往かなくてはならない」
リエール「ジェネシス…!」
ジェネシスは黒い翼を広げたまま、さらにゆっくりと彼女に近づくと、彼女と視線を合わせてまっすぐ向き合ったまま、再び今の想いを語った。
ジェネシス「リエール。
お前には伝えておこう。
もし…俺に万一の事があったら…その時は俺を殺して欲しい」
リエール「…!」
ジェネシス「リエール、最愛のお前に殺されるのなら俺は本望だ」
リエール「そんな…そんなの勝手だわ…!
面倒なこと人に押し付けて自分だけ楽しようとするなんて…!」
彼女の瞳に、透明な涙が滲む。
また大事なものを失うという恐怖に震えるリエールの姿は、ジェネシスの頑なな決意を一瞬揺るがせるほどでもあったが、同時に今までジェネシスが見てきた中で、一番とても愛おしくも見えて――
彼はその黒い片翼と共に、リエールのことを愛おしく抱きしめた。
仮にソルジャーといえども、ここにいるのは1人の男と女なのだ。
ジェネシス「…お前を手に入れることができないのなら、お前に殺されること――それこそが俺の望む願いだ。
俺もお前を信じているから話したんだ。
セフィロスにもアンジールにも言っていない」
リエール「そんな…だからって酷いよ…ジェネシス…」
ジェネシス「ああ、わかっている…お前を悲しませるつもりはなかった。
だけど俺にはそれしか残されていない。
…勝手なことなのは承知している。
お前が俺を仲間として信じているのなら…どうかわかってほしい」
リエール「ジェネ…シス…ずるい…」
ジェネシス「…すまない、リエール」
ジェネシスは彼女の止まらない涙を、触れるだけのキスでそっと拭う。
ジェネシス「…お前を悲しませたお詫びに、一晩だけ―−お前のその涙を慰める存在でいさせてくれないか?
俺は…お前さえそばにいてくれれば他に何もいらない。
今夜だけでもいい、お前の愛――
『女神の贈り物』が欲しい。
俺が俺でなくなる前に…」
リエール「…………」
ジェネシスもまたそう哀しげな瞳でそう告げると、彼女の事をきつく抱きしめたまま、その唇に自らの唇を重ねて深く口付けた。
ジェネシス「愛している…リエール」
リエール「ジェネ…シス……」
ジェネシス「…本当ならば、お前は俺のモノになるはずだった――
だけど――」
彼女を抱きしめるジェネシスの腕に、より力がこもる。
この翼の中から、二度と離しはしないとするかのように。
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