Story of DISSIDIA FF

□Shade Destiny:003
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※ ※ ※
――燃え盛る竜神の森。
AM26:00.

リエール「シェイド…!!
どうか無事でいて…!!」

灼熱の炎とむせ返るような黒煙が渦巻き、視界を遮る中。
彼女は召喚竜のアクアドラゴンを使役し、鎮火を試みるが火の勢いは予想以上に激しく、その熱は彼女の体をちりちりと蝕んでいく。

リエール「ダメだわ…!!
このままじゃ火を消すのに追いつかない…!!
――召喚、アクアドラゴン!!」
リエールは更にもう1匹蒼い竜を呼び出し、2匹の竜の放つアクアタイド(水流)で応戦しつつ、懸命にシェイドの名前を叫ぶ。

リエール「シェイド…シェイド…!!
お願い、返事をして!!
シェイドッッ!!!!」

――どうかこの森の竜神よ…!
この声を彼に届けて――……!!

リエールがそう必死に願いをかけながら、身を挺して炎の中を探して回っていた、そのときだった。

シェイド「…その声は…リエールなのか…?!」
リエール「シェイド!!
よかった…無事だったのね…!!」
リエールは紅の炎の奥から現れたシェイドの胸へと思わず飛び込んでいく。
シェイド「…リエール…どうしてここに…?!」
リエール「そんなの、あなたを助けにきたからに決まってるじゃない!
あなたの方こそ、どうして逃げなかったの…?!」
シェイド「…森の動物たちをこの裏の山の空洞の方へ避難させていたんだ」
リエール「シェイド……!
それに…この酷い火傷――
早く手当てをしないと……!!」
シェイド「私の傷はいい。
それよりもリエール、ここは危険だ。
早く逃げよう」
リエール「え…ええ…!!」
シェイド「――さあ、こっちだ」
二人はリエールのアクアドラゴンの作る道をもとに炎の海を駆け抜け、命からがらにやっとの思いで逃げきった彼らであったが、それをある人物ががけの上から観察していた。

レノ「――ほーら、おいでなすった。
待望の獲物、発見だぞと」
ルード「…しかし本当にいいのか?
ここは竜神が宿るとされる森なのだろう?
…祟られるかもしれないぞ」
いつも無口で寡黙な相棒・ルードが珍しくその先の山火事を見つめながら言葉を紡ぐ。
レノ「その前にお払いをいちおー済ませたんだから、祟られたら祟り返すだけだぞと」
ルード「…………」
見えないものにどうやってやり返すんだと言いたいところだったが、ここで言い返しても話は終わりそうにないため、その思いをぐっと喉の奥へと飲み込んだ後。
二人は気配を隠して引き続きリエールとシェイドの後を追う。


※ ※ ※
――森の裏側の小川にて。

シェイド「はあ…はあ…。
もう…ここまでくれば安全だ」
リエールの手をひき、やっとの思いで難を逃れた二人は呼吸を整えてひとまずその身を落ち着かせた後。
リエール「シェイド…あなたの方こそ大丈夫?
酷い火傷をしているわ。
今、治療してあげるからそのままじっとしていて――」
シェイド「リエール…?」
リエールは目を閉じて精神を集中させると、ケアルガを唱え、その掌から生まれる温かな光はシェイドの傷を少しずつ癒していく。
シェイド「(…柔らかい…優しい温かな光…。
まるで何かを思い出すような――)」
そうして二人がしばらくの間、穏やかな満月が見守る中で、その傷ついた羽を癒し休めていたときのこと。

WoL「――ここにいたか、リエール」

リエール「ウォーリア・オブ・ライト……!!」

バッツ「――リエール!!」
ティーダ「よかった、無事だったッスね!」

リエール「バッツ…ティーダ…!
どうしてここに…」

WoL「お前の後を追ってきたんだ。
この森は特別な者以外が入ると迷い込むと聞いた。
ならば炎の中を詮索しても意味がない。
外側を固めていればいずれは姿を現すだろうと思ってな」
リエール「そう…だったの…」

バッツ「ん?
――お前…セフィロス?!」
ティーダ「セフィロスがどうしてここに…!!」
二人がシェイドの様子に即座に剣を構える中、リエールは言い返す。
リエール「違うの!!
彼はセフィロスじゃないわ!!
…少なくとも、あの破壊者の――」
バッツ「だったらどうしてセフィロスの姿なんか真似してるんだよ?!」
リエール「それは……」
一体何から話せばいいのか――
バッツの問いに言葉を濁し、その答えに彼女が口ごもってしまう傍ら。
そこへセシルとスコール、ティナ・ジタンらも現れ、ティーダたちと同じように彼らもシェイドを警戒して武器を構える。

WoL「――待て。
確かに彼はセフィロスを模しているが、彼が纏っていた闇とあの殺意を感じない。
…その男は本当にセフィロスなのか?」
ティナ「…私も…WoLと同じように感じるわ。
彼からは何の敵意も感じられない。
…その人は誰なの?」

シェイド「…私は…ううっ…!」
リエール「シェイド!!」
再び始まった頭痛にうずくまるシェイドをリエールが護るように抱き締め、仲間たちと対峙する中――

レノ「――これはこれは見たこともないお客さんがいっぱいだぞ、と」

WoL「…?!
誰だ、君たちは…!」

リエール「レノ、ルード……!!」
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