Story of Girl's Side 2nd Kiss

□Destiny005.オーブを探して〜志波編〜
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※ ※ ※
――カナダ、マリーン国立公園。

志波「へえ…海外は初めて来たが、結構良い所だな」
俺は公園周囲を見渡し、そう呟く。

緑が豊かで空気も澄んでいるし、風も天気も穏やかで、昼寝にはうってつけの場所だな。
はばたき市の森林公園に似てるかもしれない。

おまけに往復の交通費諸々は全てリエールさんたち持ちだから、なおのことさらすがすがしく感じるんだろう。
アイツ――リエーシアの両親は金持ちだとは聞いていたが、4人分の往復の旅費を負担するって、結構大変なんじゃないか。
特にリエールさんはあんな華奢なプロポーションなのに、中身はとても太っ腹だ。
…俺達が守護戦士として協力しているからかもしれないが、流石アイツの両親だけあって、リエールさんもロックさんもいい人だ。
もちろん、二人にはとても感謝しているけどな。

…とはいえ、こんなところに本当に佐伯を救うためのオーブが本当にあるのだろうか。

…正直佐伯を助けるのは不本意ではあるのだが、もしこのまま佐伯を助けることが出来なければ…アイツの笑顔を見ることは一生できないんだろうな。

…それこそ俺にとっても喜ばしくないことだ。

志波「…とにかく、さっさとオーブを探してアイツの許へと帰るか」
…とは言ってみたものの、こんな広い公園の中から一体どこにどうやっていけばいいのか。
…リエールさん、『パープル・オーブはカナダにあるわ』とは言っていたが…ヒントが少なすぎだし、だいたい場所も抽象的過ぎる。
志波「…とりあえずちょっと疲れたし、色々緊張したら小腹がすいてきたな。
飛行機はもう勘弁してもらいたいところなんだが…船で帰るわけにもいかないしな…。
オーブ探しはひとまず明日にするか」
――そう思い、公園を見渡してみれば、目の前には大きな湖があり、魚でも釣れば腹の足しにはなるだろう。
志波「…マスでも釣るか。
塩焼きにしてもいいな」


――それから数時間後。
焚き火をつくって釣った魚を適当にあぶって一人で食べていると、背後にふと人の気配を感じた俺は、ドスをきかせた低い調子の声で森の中へと言葉を投げかけた。
志波「…そこにいるのは誰だ」
ジョージ「…ご、ごめん。
いい匂いがしたもので…」
志波「…そうか。
…で、誰なんだ、お前は」
ジョージ「う…初対面からそんな睨まなくても」
志波「睨んでない。
俺はもともとこういう目付きだ」
ジョージ「そ、そうなんだ」
…森の奥から現れた、緑色の長髪を持った目の前の穏やかそうな男は、俺を見るなり動揺している。
そんなに俺が怖いのか。
…まあ…今回に限ったことじゃないから、俺は別になんとも思ってはいないが。
すると、ぐううう、と男のお腹から音が鳴った。
志波「なんだ、腹がすいているのか?」
ジョージ「あ…なんかそうみたいだね、はは…」
男はテレながら苦笑いをする。
志波「…ならこっちへこい。
半分わけてやる」
ジョージ「あ、いいのかい?
君って見かけによらず優しいんだね、ありがとう」
志波「一言余計だ」
ジョージ「う…だからってそんな睨まないでくれよ」
志波「別に睨んでない。
お前こそいちいちおびえるな。
とにかくこっちきて座れ」
ジョージ「あ、うん…お邪魔します」
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