Story of 最遊記RELOAD

□Act 004.追悼の果てに(前編)
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――麗焔が死んだはずのユーイと、皮肉の再会を果たしてから数日後。
一行を乗せたジープはうららかな空の下、長い長い僻地を抜け、もう間もなく新たな街へと辿りつこうとしていた。

――あの夜の出来事のあと、その中で開かされた麗焔の新たな事実。

ユーイと麗焔はかつて盗賊界でパートナーを組み、任務をこなしていた事。
けれどある任務の際、そのユーイを、自ら誤って殺してしまったこと。
そしてその元凶をもたらした妖怪を追っているということ。

それが、彼女に隠された真の目的であることはわかったのだが、ユーイの言っていた彼女の亡き母のことについては、彼女の口から語られることは終ぞなかった。

そのため、麗焔の強い希望で悟浄・悟空・紅該児らの間でなかったこととして記憶の彼方に葬られ――
何事もなかったかのようにして、一行の旅路は進んでいた。
悟空「腹減ったぁ〜」
八戒「次の街まで、もうすぐですよ」
――やがて、ある地点に差し掛かった所で、ジープは止まった。
悟空「おおっ!
美味い飯屋がありそうだなぁ!」
ジープは街を一望できる見晴らしの良い所で止まり、悟空が車から立ち上がって街を見渡しながら、歓喜の声を上げた。
悟浄「ああ、そりゃなんだぁ?
野生の勘か?猿」
悟空「猿言うな!
このゴキブリ河童!!」
悟浄「んだとぉ(怒)?」
するとまたしてもいつもの調子で、二人の言い合いが始まってしまった。
それは言い合いから次第にエスカレートしていき、終いには相手の頬をつねったり、髪の毛掴んで壮絶な睨み合いをしたりして、ついには悟浄が悟空をジープから蹴り落とすほどの不始末。
麗焔「全く、相変わらずこりないわねぇ。
さっきからそればっか」
八戒「まあ実際、それぐらいしかやることがありませんからねぇ、そこの二人は」
麗焔「はああ…」
いつものこととはいえ、先日の事があったせいか普段より数倍ストレスを溜めている麗焔にとっては、止める気力もなく、ただひたすらに溜息と苛立ちを募らせるばかりだった。
悟空「いってぇ!
何すんだよ、クソ河童!」
悟浄「へっ!
明日からは自力で走りやがれ、このクソ猿!」
悟空「じゃあ、そーいう悟浄こそ車から降りて走れよな!」
すると彼らが言い合うそこへ、一人の女性がさしかかってきた。
そして女性の存在も気づかず気にせぬまま、ついにキレた麗焔が声を荒げた。
麗焔「いい加減にしなさいよ、二人とも!!
静かにしないとこの間のザコ妖怪のように、市中引き回しの上さらし首の簀巻きにして黄河のど真ん中に捨てるわよ?!」
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