Story of 最遊記RELOAD

□Act 008.Masquerade(前編)
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――ブロロロロ……。
ここ最近は目立った敵の襲撃もなく、木漏れ日の差す森の中を順調に進む三蔵一行のジープ。
そんな中、麗焔は狭い後部座席で新聞を広げ、何やら熱心に見入っている。
悟浄「…お前…さっきから何熱心に新聞なんか読んでんだ?
…何気に狭いんだけど…」
悟浄に問われ、新聞を下ろして顔を見せる麗焔が、甲高い声で話し掛ける。
麗焔「えー?!
知らないの、悟浄?!
ほら、世界最大の宝石産出国・D国の第一王女、プリンセスDが今桃源郷に来国してるのよ!」
悟浄「はぁ?
プリンセスD――だぁ?」
麗焔「そうよ!
何でも、王室に伝わる『幻の秘宝』を彼女が継承することになって、その秘宝を晩餐会で世界初公開するんですって!
ほら、丁度私たちが向かっている街にある大使館で、今夜その晩餐会があるのよ!」
悟空「バン…サンカイ?」
あまり耳慣れぬその言葉に、悟空がその大きな金色の瞳にきょとんとした色を浮かべる。
麗焔「あら、晩餐会のこと知らないの?悟空」
悟空「何だ?それ」
悟浄「お猿ちゃんの脳味噌でもわかーりやすく一発で説明すると、つまり絢爛豪華で派手なパーティーってこった」
悟空「ええっ、マジ?!
――ってことは美味い飯が一杯でるって事か?!」
悟浄からその話を聞いた瞬間、悟空の瞳がらんらんとした輝きに満ちる。
悟浄「あ、ああ…まーな。
麗焔の話から察するにおそらく、出る料理も全て超高級の一級品って所だろう」
悟空「うわーっっ!!
いーなー、俺その『晩餐会』って奴に超行ってみてぇ!
なあ三蔵、行こうぜ!!」
三蔵「バカ言ってるんじゃねえ。
俺達は別に招待なんぞされてねえんだぞ。
行ける訳がないし、行く必要もない。
俺達は食い道楽の旅をしてんじゃねえんだ」
悟空「えー?!
どうせ次の街には寄るんだから、ついでにいったっていいじゃんかよ、三蔵のケチ!」
三蔵からものの2秒であっさり断られた悟空が、ぶーっと頬を膨らましてむくれる。
対して麗焔はというと、晩餐会という言葉の響きに夢を膨らませ、お星様のように青い瞳をきらきらさせながら、うっとりとした色で話を続ける。
麗焔「でもいいわよねー、晩餐会だなんて!
プリンセスDは今夜の晩餐会で、夢のようなドレスを着るのよ!
それに幻の秘宝ってのも見てみたいし!
そんでもって、カッコよくタキシードを着た紅ちゃんと踊れたりなんてしたらぁ……」
ぐふふふ、とらしからぬ笑みを浮かべ、すっかりドリー夢(ム)へと入る麗焔。
一方でそんな悟空もまた、豪勢な食事の数々を思い浮かべ、よだれさえもをたらして華の妄想世界にトリップする始末。
悟空「飯ー…飯ー…!」
悟浄「げっ汚ね、猿!」
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