長編小説
□空を見上げれば…
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宗弥は響の為に用意した部屋で寝ればいいと言ったのに、必ず朝起きれば、お気に入りのソファで眠っていた。
ソファにいないのに気付き、宗弥は使われていなかった響の部屋を使い始めてくれたのだと思い、部屋を覗きに入ったがいない。
「どこいったんだ?」
広くない家の中を散々、捜した。
どこにもいないことに困った宗弥は取りあえず、落ち着こうとソファに腰掛ける。
「手紙…?」
自分宛の手紙を響がポストから出して来てくれたのだと思っていた。
けれど、それを読んだ宗弥が驚きを隠すことが出来るはずがない。
「何で…」
そう呟いた宗弥は、封筒のなかに小さなメモが入ってることに気付く。
それは、響からの精一杯の言葉だった…。
メモと手紙を握りしめて宗弥は走り出した。