長編小説
□空を見上げれば…
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ゆっくりと瞳を開けると視界に入って来たのは、真っ白な天井と蛍光灯…この場所が宗弥の部屋ではないことだけは確かだった。
ぼんやりとする頭で、何があったのか1つ1つ思い出していく。
海岸で倒れた自分が何故ここにいるのかは解らない。
繰り返し思い出すのは意識が遠のくなか、響が姿を消したこと。
無意識のうちに宗弥の瞳からは涙が溢れて止まらない。
涙を拭うため、腕を動かそうとした時、宗弥の体に激痛が走る。
「……っ…」
痛みに声を漏らした宗弥は、自分に近付いてくる足音があることに気付いた。
すぐそばで止まった足音の方へ視線をやると、そこに立っていたのは見知った人物。
「洸太…ここどこ?…俺、何で…ここに?」
とにかく自分が置かれてる状況を把握したかった宗弥は顔を見るなり口を開く。