長編小説

□空を見上げれば…
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【宗弥へ…
顔を合わせてしまったら、また泣いてしまいそうだから、手紙でごめんね。
宗弥と過ごした時間はとても楽しかった。
泣いたり、喧嘩みたいになったりもしたけど、それもいい思い出にできるくらい、宗弥と過ごした時間は大切だった。
私は2人で過ごした時間を忘れない。】

まるで、もう二度と会えない様に綴られた手紙の内容が走る宗弥の頭の中を巡る。

そして、その後に思い出すのはもう一枚のメモだった…。

【最後に私たちが出会った場所でもう一度、会いたい…】

2人で暮すようになってから、あの場所に何度も行ってみようとしたけれど、辿りつくことは出来なかった。

初めて響と走った時は、ただまっすぐ突き進んでいただけだと思ったのに、宗弥の家からただ道に沿って走って辿り付くのは奏とよく行った海岸だけだった。

今回もあの場所には辿りつけないかもしれない…

そんな思いを振りほどくように、宗弥はただ走り続けた―
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