長編小説
□空を見上げれば…
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「ここは病院、お前は怪我で入院中」
答えだけ口にした洸太は、ベットの脇に置いてあるイスに座った。
「怪我…?」
宗弥が覚えている限り、入院するような怪我はしてない。
けれど、痛む腕が…足が、それを証明してる…。
「そう、怪我!お前ずっと意識なくて、おばさん達、すっげー心配してたんだぜ?…てか、覚えてねぇの?」
洸太からの質問に、宗弥は小さく頷くことしか出来なかった。
「まぁ、それでいいのかもな…」
小さく呟かれた洸太の言葉は、思い出そうと思考を巡らす宗弥には聞こえていなかった。
そんな宗弥を見て、不安な気持ちを押さえながら、洸太は小さく笑う。
「とりあえず、お前が戻ってきてよかったよ。おばさん達に謝っとけよ?!」
宗弥のほっぺを軽く抓り、宗弥に言い聞かせるように言葉を並べた洸太は「電話してくる」そう言って、病室を出て行った。