過去版・妄想小説1*
□●想いの強さ●
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●想いの強さ●
どうやったら、伝えられるんだろう。
簡単なことなのに、どうやったって強がりで終わるから。
「・・・・・・・・なあ、ラクス。」
「はい?」
クッキーを片手に、私はラクスに視線を向けた。
当のラクスはいつもの様子で、周りに浮遊するハロを見て微笑んでいた。
紅茶を一口飲んでみるも、口は上手く回らなかった。
「カガリさん、どうかしましたか?」
「あ、いや、その・・・・なんだ・・・・・・・・・っ。」
ラクスが微笑みをたたえたままこちらを覗き込む。
思わず俯いたときだった。
「あれ、カガリ。来てたんだね。」
リビングとフロアをつなぐホールから、キラが顔を出した。片手にマグカップを持って、片腕にはたくさんの雑誌が抱えられている。キラの肩にはトリィが乗っていて、小さくトリィ、と鳴いた。
私の弟はラクスの座るソファーの後ろに回る。
ラクスが困ったようにキラに振り向き笑った。
「カガリさんがいらしましたと、お呼びしましたのに。」
「ごめんね。聞こえなかった。・・・・・これ、ラクスが作ったの?」
「はい。あとでお部屋のほうにお持ちしましょうか?」
「ううん、いいよ。今ここでもらうから♪ちょっと休憩しようかなって思ってたし。」
「ふふ、そうですの。お疲れ様です。・・・・・・・・・あ。」
「・・・・・・・・・・。」
まさに、春真っ盛りで。
私の目から見ても二人は・・・・・・・・・・熱い。
ラクスが私に気付き、もう一度たずねた。
キラが丸い瞳をきょとんとさせて、何?どうしたの?と聴いてくる。
私は、立ち上がった。
「ちょっと、キラは上で休んでろ!!」
「ぅ・・・・・・・・へ?!カガリ?!」
「ほら、コレ持って!・・・・・・・弟は大人しく姉に従え!」
「あ、ちょ、何・・・・・・・あ、えーっ・・・・。」
クッキーなんかが載ったトレイをキラに押し付け、私は弟の背中を押す。
雑誌がばさばさと落ち、キラを無理やりに2階に上げさせる。
リビングに戻った私は、ソファーに沈み込んだ。
「・・・・・・・・・・何かの、ご相談でした?」
あっけにとられているラクスに、私は意気込んで聞いた。
こういうことは、悩んでる前にささっと言ってしまうのが一番だ。