過去版・妄想小説4*
□●サイン●
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●サイン●
「アスラン、蛍が飛んでいます・・・・・。」
り、りりりり。
鈴虫が羽根を震わせる響きは、室内にいても聴こえてくる。
空を見つめれば、冬のように澄んではいない青い夜がこちらを見つめている。星の瞬きが鈍く、きっと外は柔らかな暑さでほのめき立っていることだろう。
寒いのも、暑いのもどちらかといえば苦手なほうで。
ソファーに座り、始めはそれを軽く無視していたけれど。
窓に張り付くように、窓の向こうを見つめているラクス。
「一緒に、お外へ行きませんか?」
ラクスに一度、可愛い笑顔で振り向かれれば。
「・・・・・・・・・・・はい、いきましょう。」
自分は、どんな願いでもイエスと答えてしまう。