過去版・妄想小説4*
□●アイノケッカン●
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●アイノケッカン●
「・・・・・・・ラクスは、知っていますか?」
不意に、隣に座っていたラクスの左手を、アスランが掬い上げた。
きょとんとするラクスに微笑みを浮かべ、アスランはラクスの小さな手のひらを自分の手へと優しく持ち上げ、薬指へとゆっくり口付けて見せた。
「エンゲージリングが、どうして此処にはめられるかということ、です。」
キスを落としたときに生まれた、かすかな音にラクスはくすぐったそうに肩をすくめる。そうして、アスランに指を弄ばれるのも構わないようにようやく微笑んだ。
「考えたこともありませんでしたわ。」
「そうですか。」
言葉を紡ぐ際、ラクスの薬指にはアスランの吐息が降りかかる。
ラクスがそれに小さく反応するのに、アスランは愛おしさを隠せなかった。