過去版・妄想小説5*
□●ハッピーエンドのその時は●
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●ハッピーエンドのその時に●
「それじゃあ、お疲れ様でしたー!」
薄暗い撮影所、異常なほどに明るい照明から少し離れた場所。
鉄骨で組み立てられたセットの隅に、少年がもたれるように手帳を眺めていた。
「お疲れ様でー・・・・・・・・あれ?君は、現場の見学者・・・・・さんかな・・?」
「はい?僕ですか?」
照明の激しい所から、背伸びしながら歩いてきた警備員が、少年の姿に気付く。少年の髪は明るいブラウンで、瞳の紫は薄暗い中でも静かに落ち着いていた。スーツを着ているけれど、どうしたっていささか子供っぽいその姿に、警備員として疑惑は浮かんでしまったのだった。
少年は、自分が呼びかけられていることに素早く気づき、顔を上げる。
こういうことは、なれている。
「いいえ、僕は・・・・・・・・・。」
少年が、慣れた手つきで胸ポケットに入った証明書を取り出そうとしたとき・・・・。
「キラ!」
照明から離れるように、一人の少女が駆け寄ってきた。