過去版・妄想小説5*
□●ターン●
1ページ/5ページ
●ターン●
言葉も、確立したジェスチャーも無かった大昔は。
一体、この感情をどうやっていたのだろう。
言葉だってありふれて、行動だって自由が利く僕らでさえ、いつまでもそれに思い悩むというのに。
「キラ。」
「ラクス・・・・・・・ごめんね、起こしちゃった?」
「ええ。・・・・・・・ふふ、冗談ですわ。私も、ただ目が覚めてしまいましたの。」
「そっか、なら良かった。」
「ええ。」
「・・・・・・・・・・・もうすぐ、朝が来るね。」
街灯も何もない、緑深い水面の傍。
桜色の髪が、影と一緒に揺れて僕の隣に並んだ。