過去版・妄想小説2*

□●Flower●
1ページ/4ページ

●Flower●


 慰霊碑なんか建てたって。
 どれほどの涙を流したって。
 結局みんなダメにしてしまうんだ。
 どうしようもないのは分かってるけど。
 それでも、心は理解できない。


「結局植えた花たちも、吹き飛ばされてしまうんだ。」

 見ず知らずの人に、そんなことを言って。

 とめなきゃいけない言葉は、止まらなかった。

 千切れた腕、飛び散った血しぶき、つぶれた肉塊。ついさっきまで生きていた大切な人が、一瞬にしてグロテスクなモノへと成り下がる。愛しいと思っていた姿形が消え、あっという間に吐き気さえ促すモノになる。

 思いはひたすら続き、自分の心を押しつぶす。
 姿が消えてしまって、言葉も、声も聞けなくなって。
 思いだけが自分の心を締め付け、悲しみだけに支配される。
             
 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ