過去版・妄想小説2*
□●還ルベキ場所ヘ●
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●還ルベキ場所ヘ●
『私が、キラと過ごします。』
戦いが終末を迎え、戦いを終末に導いたキラは精神を壊した。
何も見ない。
何も口にしない。
何も、何も。
世界が無に縁取られたように、キラの世界も存在も、無くなった。
廃人のようなキラを支えたのは、ラクスだった。
みなが皆、それぞれの立場で動かなくてはならなかったから。
ラクスはキラの肩を支え、優しく呟いた。
『帰りましょうね、キラ。』と。
キラは何も言わず、ただラクスをうつろな瞳で見ていた。
ラクスを見ていたのは、キラ以外にもそこにはいたのだけれど。
ラクスもそれを知っていた上で、キラを見つめていたのだけれど。
『アスラン。』
『ラクス。』
お互いにその名前を呼び合い、一瞬の瞳を交わして。
想いあう思いは、一時の離別を黙認した。